美容・健康

近くの公園や家の中でも! 身近な自然や記憶の中の風景を使った瞑想法を実践【後編】

精神科医の禅僧が贈る「幸せ力を高めるマインドフルネス」第6回(後編) 行楽の季節になりました。人込みはできるだけ避けたい今、山や高原、海や川など自然の中で非日常の世界にゆったり浸り、心と体を回復させる“リトリート”が人気です。必ずしも遠出の必要はありません。近くの公園や家の中でもマインドフルに自然を楽しむ工夫をお伝えします。前回の記事はこちら>>

大自然の中へ出かけよう、と意気込みすぎると、リトリートのハードルは高くなりがちです。身近な自然の中でマインドフルに過ごす方法と、家の中でできるリトリートの工夫をご紹介します。

自然の色を辿る瞑想

語彙を駆使して目に映る色彩を表現
私は、自分なりのリトリートスポットを4段階に分けて持っておくことをおすすめしています。いつか行ってみたい理想の場所、1泊か2泊程度の小旅行で訪れたいところ、気軽に足を延ばせる近所のお気に入りスポット、そして自然を取り込んだ家の中、です。

自然の色を辿る瞑想

近くの公園など身近な自然の中でよりマインドフルに過ごす方法の一つが、視野に入るものを色に絞って観察する瞑想です。コツは、ただ「緑」「黄色」「赤」というのではなく、できるだけ詳しく表現すること。たとえば緑の葉は「艶のある若々しい黄緑色」「茶色がかった濃い深緑」、黄色の花は「朱色に近い鮮やかな山吹色」「アイボリー寄りの薄めのレモンイエロー」など語彙を駆使して微妙な色の違いを描写してみてください。

このように一つのテーマに意識を向けると、心の中がシンプルな状態になり脳の疲労も抑えられるでしょう。

景色が色を失ったように見えるのはうつ病の人によくある症状で、色の見え方と心の状態は大きく関係しています。元気が出ないと感じたときに意識して色を細かく観察することは、心によい刺激を与えると考えられています。

カームイメージ瞑想

印象的だった光景を細かく思い出す
自然の中へ出かける時間がなかったりおっくうに感じてしまった場合は、家の中で自然を思い浮かべる「カームイメージ瞑想」を行ってみましょう。

自分が今まで訪れた中で最も印象的で心地よかった自然の光景を思い出すのです。普段から練習しておくと、不安や焦りで心が落ち着かないときにすぐに行えて、穏やかな心を取り戻すことができるようになります。

カームイメージ瞑想

ポイントは、風景を漠然と思い浮かべるのではなく、五感を研ぎ澄ませて一つ一つ細かく思い出すことです。

目を軽く閉じて座り、深呼吸をしてから自然な呼吸を続けます。まず、何が見えますか。遠くの山、近くの木の枝、足もとの花など隅々まで観察してみてください。聞こえるのはどんな音ですか。川のせせらぎ、鳥の鳴き声、海の波音に耳を澄ませます。漂ってくるのは土の香り、磯の香り、花の香りでしょうか。そこでいただいた料理の味を思い出すのもよいですね。では、そのイメージの世界を歩いてみましょう。足裏に意識を向けて、地面に触れる感覚を楽しみ、もし触れそうなものがあったら手を伸ばしてみてください。

最後にゆっくりと深呼吸をしてすべてのイメージを手放し、心を解放しましょう。体を日常に置いたままの心だけのリトリートも、私たちに癒やしの効果をもたらしてくれます。


ワンポイントアドバイス

家の中でも“リトリート”
最も身近で簡単なリトリートは、家の中に生きている自然を持ち込むことです。花や観葉植物を眺めるだけでも現実から気持ちを離すことができますし、ハーブを栽培する、メダカや金魚を飼うなど植物や生き物を育てる行為は自己肯定感と癒やしをもたらす効果があります。

動画を見ながら「カームイメージ瞑想」を行ってみましょう

下の動画では川野さんのカームイメージ瞑想の詳しい説明を聞くことができます。


〔お話ししてくれたのはこの方〕川野泰周(かわの・たいしゅう)さん

川野泰周さん

臨済宗建長寺派林香寺住職、精神科・心療内科医、RESM新横浜睡眠・呼吸メディカルケアクリニック副院長。1980年生まれ。慶應義塾大学医学部医学科卒業。精神科医療に従事した後、3年半の禅修行を経て2014年より実家の横浜・林香寺の住職となる。寺務と精神科診療の傍ら、講演活動などを通してマインドフルネスの普及と発展に力を注いでいる。著書に『人生がうまくいく人の自己肯定感』(三笠書房)ほか。公式ウェブサイト https://thkawano.website/
「寺子屋ブッダ」https://www.tera-buddha.net/

取材・文/浅原須美 イラスト/井上明香 撮影(川野さん)/鍋島徳恭

『家庭画報』2021年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

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