アート・カルチャー・ホビー

京都の老舗和菓子店「鍵善良房」が新たに開いたミュージアム。テーマは“祇園”

心静かに、向き合いたい 京都の美に触れる 第4回(全17回) この時期の京都は観光客も少なく、心静かに本来の魅力を堪能できる絶好の季節です。京都を代表する料亭が満を持して開催する“料亭美術館”、精緻な“手業の美”に出会える美術館やショップ、そして“冬の美味”を味わう食事処──。今、注目の京都のさまざまな美の形が、ここにあります。前回の記事はこちら>>

第2部 “手業の美”に触れる

今訪れたいのは「個人美術館」と「お誂えできる店」

第1部 名品を愛でる“料亭美術館”

朱漆捻茶器
明るく雅な朱漆と力強い曲線の造形が心をとらえる黒田辰秋作「朱漆捻茶器」。2021年1月8日にオープンした美術館「ZENBI 鍵善良房」では、老舗和菓子店「鍵善良房」が所蔵する黒田の拭漆、朱漆、螺鈿の作品を一挙公開。

京都ならではの風情ある「個人美術館」で、人込みにまぎれることなく落ち着いて作品に向き合う──。また、職人や伝統工芸の工房などにオーダーできる「お誂え」も、京都らしい楽しみの一つ。

第2部では、今、最も注目の美のスポットをご紹介。私たちを魅了してやまない手業の美が、ここにあります。

ZENBI─鍵善良房─〈祇園〉

螺鈿くずきり用器
鍵善良房の12代目主人、今西善造の依頼で作られた「螺鈿くずきり用器」。輪島塗の信玄弁当の形を模して作られたもので、祇園の奥座敷や店先でさりげなく出されていた。鍵善良房の4文字のほかに鍵の形を記した5点がある。

黒田辰秋との出会いから生まれた特別な器

2021年1月、京都・祇園町南側の一角にオープンした美術館「ZENBI─鍵善良房─」。花街の風情に溶け込むように佇む建物の中に入ると、静寂の空間が広がり、美しいしつらいとともに作品の鑑賞ができます。

展示室
柔らかな光と木々の緑が美しい、土壁に包まれた展示室。今後は祇園や鍵善良房にかかわりのある人や作品をテーマにした企画展を開催。

祇園をテーマにした小さなミュージアム

「花街・祇園で育まれた文化をきちんと残すために設立した小さな美術館です。今後は、地元のかたがたとともに継承していける文化サロンのような場にしていきたい」と語るのは、享保年間創業の御菓子司「鍵善良房」の15代目主人で館長の今西善也さん。

螺鈿菓子重箱
朱漆に鍵善の「善」の字を日本あわびで描いた、華やかな「螺鈿菓子重箱」。菓子の見本を入れるために中に仕切りを設け、用の美も備えている。展覧会では、茶器、水指といった茶道具などが展示される。

初の展覧会では12代目今西善造と親交が深かった木漆工芸家・黒田辰秋の貴重なコレクションを一挙公開。ほぼ同世代だった二人の交流の軌跡とともに店で大切にしてきた「くずきり」の器、菓子の見本箱などの作品約40点を展示し、手業の美を伝えます。

蔦金輪寺茶器とくずきりの器
左・技巧を超えた造形力が感じられる「蔦金輪寺茶器」。拭漆で蔦の素材の肌合いや木目に深い味わいを生んでいる。右・くずきりの器は黒蜜や干菓子用の器を内蔵し、配達用の岡持ちがつく。

華やかで贅沢な花街文化の存在やそれを支えた旦那衆の心意気を感じながら、祇園に息づくものづくりの豊かさを再発見することができます。

黒田辰秋氏
祇園に生まれ、一貫制作する独自のスタイルを確立した黒田辰秋。

鍵善の銘菓
美術館の隣にオープンするショップ「Z+」では、バッグの中に収まるギフトをテーマとし、鍵善の代名詞である銘菓「菊寿糖」のミニサイズや、落雁と州浜製の「飴雲」、「うつろい」を販売している。

ZENBI-鍵善良房-(ぜんび かぎぜんよしふさ)
京都市東山区祇園町南側570−107
TEL:075(561)2875
開館時間:10時~18時(入館は17時30分まで) 月曜休(祝日の場合は翌日)
入館料:1000円
https://zenbi.kagizen.com/
※最新の営業状況は公式サイトをご確認ください。

表示価格はすべて税込みです。

撮影/鍋島徳恭 取材・文/西村晶子 取材協力/永松仁美

『家庭画報』2021年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

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