歌舞伎俳優ファイル
尾上松也さん
年始の浅草公会堂の「新春浅草歌舞伎」で大役に挑戦させていただけるようになってからは、それが自分にとって大きな軸となり、自信につながるようになりました。
技術的なことは回数を重ねることで理解できるようになりますが、主役を勤めることで舞台の真ん中で注目を浴びながら芝居をするという“舞台度胸”を体得できたと思います。
そして2019年の團菊祭の大切り（芝居の最終幕）で父の襲名に縁のある『御所五郎蔵』を勤めさせていただけたのも、意義のある時間でした。
歌舞伎座の團菊祭では念願だった『御所五郎蔵』の五郎蔵役を演じた。2019年5月、歌舞伎座。20代の頃から、歌舞伎座で中心のお役をさせていただくことを目指して自主公演に挑んできましたが、自分で選んだ役をアピールするのと、任せていただいて演じるのとでは全く違いました。
コロナ禍になってからは、家にいながらオンラインでいろいろ動画を見ることができるようになりました。僕も幸四郎さんと『歌舞伎家話』の第1回に出演しましたが、歌舞伎界の若手が一丸となって新たなお客さまを獲得していかなければならないと思います。
歌舞伎は、どんな物語であっても歌舞伎として昇華することもできますし、歌舞伎として成立させる力があります。“歌舞伎色”にできるのです。そういう仕組みを作った先人には脱帽するとしかいいようがありません。
最近ではTBSテレビ日曜劇場『半沢直樹』で自分も含め歌舞伎俳優が話題になりましたが、歌舞伎そのものの力に気づかされる機会にもなりました。
尾上松也（おのえ まつや）
1985年、東京都出身。90年歌舞伎座で父・6代目尾上松助の襲名披露に併せて『伽羅先代萩』の鶴千代役で2代目尾上松也を名乗り、初舞台。2009年から歌舞伎自主公演『挑む』を上演。近年は浅草公会堂「新春浅草歌舞伎」で大役を勤めた。
今月の歌舞伎
【歌舞伎座】
壽 初春大歌舞伎
2021年1月2日～27日（12日、19日は休演）
●第一部 11時開演一、『壽浅草柱建』 二、猿翁十種の内『悪太郎』
●第二部 14時45分開演一、坂田藤十郎を偲んで『夕霧名残の正月 由縁の月』 二、『仮名手本忠臣蔵 祇園一力茶屋の場』
●第三部 18時45分開演一、『菅原伝授手習鑑 車引』 二、『らくだ』
※尾上松也さんは第一部の『壽浅草柱建』に出演。
1等席1万円5000円ほか
チケットホン松竹：0570（00）04
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【国立劇場】
令和3年初春歌舞伎公演『四天王御江戸鏑』
『四天王御江戸鏑』は1815年に江戸・中村座の顔見世狂言で3代目尾上菊五郎の襲名を兼ねた舞台で初演された演目。源頼光四天王の土蜘蛛退治の話に楽しい趣向を凝らして2011年に国立劇場で復活。今回、そのエッセンスを凝縮し、新たなアレンジで生まれ変わる。正月恒例の尾上菊五郎を中心とした一座で、中村時蔵、尾上松緑、尾上菊之助ほかの出演。
2021年1月3日～27日 12時開演、15日は16時開演（14日は休演）
1等席1万円ほか
国立劇場チケットセンター：0570（07）9900
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【大阪松竹座】
坂東玉三郎 初春特別舞踊公演
『賤の小田巻』は義経の愛妾だった静御前が、頼朝の前で白拍子の舞を披露して不興をかったという故事を舞踊化したもの。『傾城雪吉原』は2018年に歌舞伎座で新作として上演された作品で、春を待つ傾城を主人公とした舞踊劇である。坂東玉三郎の美を堪能できる。
2021年1月2日～19日 14時開演（6日、10日、15日、16日は休演）
一、お年賀『口上』 二、『賤の小田巻』 三、『傾城雪吉原』
1等席1万8000円ほか
チケットホン松竹：0570（00）0489
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ヘア&メイク／岡田泰宜〈PATIONN〉 スタイリング／椎名宣光 衣装協力／FAIRFAX
『家庭画報』2021年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
