レディー・ガガが愛用するシューズ作者の、現代アート版 シンデレラ・ストーリー

《Heel-less Shoes，2020》2020年　作＝舘鼻則孝　素材＝牛革、豚革、染料、クリスタルガラス、金属ファスナー　サイズ＝45.5×10.2×22.4センチ

選･文／住谷晃一郎（美術評論家）


舘鼻則孝は、2010年にレディー・ガガが愛用する「ヒールレスシューズ」をつくったことで有名である。

花魁（おいらん）が履いている高下駄（たかげた）にヒントを得た作品で、はじめは東京藝大の卒業制作であった。



表面に2万粒ものクリスタルがあしらわれた緻密な手仕事で自信があったが、学内での評価は振るわない。そこでメールに画像を添付してスタイリストや出版社など、100通くらい手当たり次第世界中に売り込んだ。

返事が来たのはわずか3通ほどで、その1人がレディー・ガガのスタイリストのニコラ・フォルミケッティであった。



こうして1月に卒業制作展があり、3月末に大学を卒業し、4月の第1週にはレディー・ガガがヒールレスシューズを履いている姿を日本のテレビ番組で見ることになった。

現代アート版、シンデレラ・ボーイ・ストーリーである。