アート・カルチャー・ホビー

『英国バレエの世界』著者・山本康介さんが語るバレエの真髄とメッセージ


山本康介さん(やまもと・こうすけ)
1998年ロイヤル・バレエ・スクール入学。2000年バーミンガム・ロイヤル・バレエ入団。2010年に同団を退団し、帰国。現在は振付家・演出家・指導者として活動し、NHK『プレミアムカフェ』『ローザンヌ国際バレエコンクール』『らららクラシック』に解説者として出演し、多方面で活躍。(撮影/kobayashiworld)

長年イギリスでプロのバレエダンサーとして活躍し、帰国後は指導・普及に力を注ぐ山本康介さん。2020年3月に発売された話題の初著書『英国バレエの世界』には、山本さんのバレエへの愛情と深い思考が詰まっています。同書への思いやバレエを通して今考えていることをお聞きしました。

バレエの底辺を少しでも広げていきたい


バーミンガム時代の貴重なショット。フレデリック・アシュトン振付『エニグマ・ヴァリエーション』より。(写真提供:バーミンガム・ロイヤル・バレエ)

――愛媛県のご出身で、幼少からバレエを学び、国内外のコンクールで受賞されました。英国の名門ロイヤル・バレエ・スクールを卒業後、バーミンガム・ロイヤル・バレエで10年間踊り、クラシック・バレエの大作から現代作品まで重要な役柄を経験されています。当時を振り返ってみていかがですか?

山本康介さん(以下、山本) 楽しい記憶しかないですね。同僚や芸術監督のデイヴィッド・ビントリーをはじめとするスタッフの方々に恵まれました。指導者の的確な助言を受け、踊りの根本的な部分を明確にしていくことがクラシック・バレエを掘り下げるルーツになりましたね。

バレエを通して自分の考えを社会に伝えたい

――退団を決意し、現在のキャリアをスタートさせた経緯を教えてください。

山本 ダンサーとして踊るだけでは満たされず、バレエを通して自分の考えを社会に伝えたくなったんです。自分が舞台に出て踊っていても、プロデューサー的な視点・思考でダンサーやスタッフの誰が何をやっているのかという全体のことを考えていましたね。また、長い間踊っているうちに、きれいで踊れる若い人が出てくれば、彼らにチャンスが行くべきだとも思いました。

――2010年に帰国されました。全国各地で演出・振付・指導を行い、『ローザンヌ国際バレエコンクール』などのテレビ解説、DVD『ディズニー・バレエ・マウササイズ 入門編』の制作に関わるなど活動範囲は多岐にわたります。

山本 バレエの裾野を広げるやり方はさまざまです。DVDに関しては、ディズニーの名を冠することで、バレエの真髄に触れてみたいという人が1人でも2人でも増えればと願い、引き受けました。ローザンヌの解説も同じです。たとえ身体能力が高く回れて飛べても、どうしてバレエとしてよくないのかを、芸術のフォームとしてわかりやすく話すことで、観る人に理解を深めてもらいたいと思っています。


Ballet Company West Japan第1回公演では『椿姫』を手がけた。写真は主演の瀬島五月さんとアンドリュー・エルフィンストンさん。(撮影/文元克香<テス大阪>)

――振付作品もたくさんあります。『ジゼル』『くるみ割り人形』『シンデレラ』といった全幕作品、それに『椿姫』などの創作バレエも発表されていますね。

山本 帰国してから古典作品のアレンジを頼まれるようになりました。まだプロではない生徒たちの舞台であっても、お客さまに観ていただく以上はきちんとしたものを創る必要があるので、作品としてどう見えるかを心がけています。近年手がけた作品はよりわかりやすくなっているように思いますね。

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