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パリで認められたニットクリエイター・原田江津子さんの緻密な美の世界

美を紡ぐ人々 パリでその実力を認められた「美を紡ぐ」日本人アーティストや職人たちとの出会いを、フランス移住2年目のライター・ルロワ河島裕子が綴ります。連載記事一覧へ>>

美を紡ぐ人 原田江津子さん(ニットクリエイター)【後編】

取材・文/ルロワ河島裕子

前回に引き続き、ヨーロッパの美術館でもその作品が度々取り上げられる「TAMBOUR PARIS(タンブール パリ)」オーナーのニットクリエイター、原田江津子さんの繊細でファンタジックな美の世界に迫ります。

大好評のため展示期間が2か月延長されたという、2019年9月後半~2020年2月初旬まで行われた「Musée de la dentelle de Chantilly」での「白と黒」をテーマにした展示。シャンティイ レースのオートクチュールドレスとのコーディネートに、原田さんの刺繍を施したかぎ編みのネックレス3点が選ばれました。ため息を誘う繊細で緻密な手仕事の世界。

白いドレスにコーディネートされた「アンドロイドフラワー」。

“人のモノマネ”をしたクリエーションはジェラシーを生むだけ

パリの街にひっそりと佇む、宝箱のようなブティック「TAMBOUR PARIS(タンブール パリ)」。

「人の真似をしていても、誰かと比べてしまい、ジェラシーの感情を生んでしまいます。周りがどう思うかを意識するのではなく、自分の表現したいものを作品にするだけ」と語る、オーナーでニットデザイナーの原田江津子さんが紡ぐニットウェアやアクセサリーは、独創的で神秘的な美しさに満ちています。

2019年はシャンティイ市の「Musée de la dentelle de Chantilly」(シャンティイレース美術館)で、2020年はパリやニューメキシコなど、各地のギャラリーなどでもその作品の展示が予定されているなど、今、世界が原田さんの手仕事の美しさに魅了されています。

小さなアクセサリーやニット作品がぎゅっと詰まったブティックは、おとぎ話の世界に迷い込んだよう。

ブティックの中はまるで秘密の宝箱のよう

小さなブティックに所狭しと並べられた作品の数々。まるで「秘密の宝箱」の世界に迷い込んでしまったような感覚に陥ります。

その中でも色とりどりの色彩がひときわ目を引く「エデン」は、「TAMBOUR PARIS」シグネチャーの一つ。実は東日本大震災の数か月後に誕生した作品です。

「祖国から遠く離れたフランスで見たあの震災の映像には、本当に心を締めつけられました。日本では苦しんでいる人たちがいるのに、ただテレビから流れる映像を見て、涙を流すだけの日々。人生で初めて鬱になり、その後何も手につかなくなってしまったのです」。

その数か月後、原田さんに「1つのリアルなビジョン」が降りてきたのだとか。

「瓦礫の中で眩しいほどの光線を浴び、力強く芽生えた、みずみずしく堂々とした新緑のビジョンが、脳裏に浮かんできたのです。それは勇気と希望を私にくれました」。そうして羽のように軽やかなイヤリング「エデン」が誕生しました。

カラーバリエーションも魅力の「エデン」。各色145€

こまやかなカギ編みの優美さに目を奪われる「エデン」は、つけていることを感じさせない軽やかさ。石とビーズ刺繍を配した「エデン」183€

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