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【新連載・美を紡ぐ人々】パリから世界へ。日本人デザイナー佐藤康司さんの挑戦

美を紡ぐ人々 モードの都、食の都、芸術の都、光の都……。いつだって世界の文化をリードしてきたパリでは、しばしば私たちの琴線に触れるような美しいものに遭遇します。パリでその実力を認められた「美を紡ぐ」日本人アーティストや職人たちとの出会いを、フランス移住2年目のライター・ルロワ河島裕子さんが綴ります。

美を紡ぐ人 佐藤康司さん(デザイナー)【前編】

取材・文/ルロワ河島裕子

記念すべき初回は、2018~19年秋冬シーズンからバッグブランド「LIENDE PARIS(リアンドゥ パリ)」を立ち上げた佐藤康司さんの美にまつわるストーリーをお届けします。

パリの美と日本の繊細な感性が息づく
「LIENDE PARIS(リアンドゥ パリ)」のバッグ

美しく凛としたそのバッグとの出会いは、ほんの偶然でした。25年来の友人が住むパリのアパルトマンでのこと。彼女の隣人家族がふらりと訪れた時、私は挨拶もそこそこに、奥さまの肩にかかった端正なバッグに目が釘付けになってしまったのです。

それが、当時誕生して間もない、パリ在住の日本人デザイナーによる「LIENDE PARIS(リアンドゥ パリ)」というブランドのバッグだということを知り、私は興味を惹かれました。


デザイナーの佐藤康司さん。

多彩な経験から生み出される“美しきリアルバッグ”

このLIENDE PARISを手がけるのは、佐藤康司さん。「イヴ・サンローラン」のオートクチュールでの研修、マルタン・マルジェラ氏時代の「エルメス」を経て、「ミッシェル クラン」ではデザイナーのミッシェル氏の右腕として、メンズ&レディスのオールアイテムのデザインを手がけてきたという経験の持ち主。まさにその豊かな経験知と美意識が、バッグの隅々にまで投影されています。

「自分らしくありたい」という思いで、単身パリへ

佐藤さんがパリの街にやってきたのは、学生時代。

新潟県内有数の進学校を卒業し、関東の大学で法律を学んでいた彼は、いつの日か“世間の価値観の上に築かれたレールの上を歩くだけの自分”に違和感を感じるようになっていたといいます。

そして大学2年生の頃、「日本とは全く違う世界を見てみたい」と海外行きを決意。最初は猛反対したというご両親も、佐藤さんの熱意に押され、応援してくれることに。幼い頃から、絵を嗜む父親の部屋にある画集で目にしていたパリという街を、この目で見てみたいという思いから、フランスを目指すことになりました。


実は語学学校を「中途半端に」退学してしまった佐藤さん。当時「授業を理解するだけの語学力が全然なかった」のだそう。そこで佐藤さんが選んだのが、学んだことはすべて「絵で残す」という手法。

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