トリオとセクステットで大西ジャズを堪能　大西順子『サ マーナイト・ジャズ 』

「何もしていない時間が結構あったので、面白いなと思うことが自然にあるんです」と話すジャズピアニストの大西順子さん。

2012年に突然引退を発表したが、大西さんのファンと公言する村上春樹さんや小澤征爾さんの説得もあって、2015年に復帰。以来、ライブツアーやアルバム発売など、積極的に活動を展開している。

大西順子（おおにし じゅんこ）
1967年、京都府出身、東京育ち。89年にバークリー音楽大学を卒業し、N.Y.を拠点にプロとして活動開始。93年に『ワウ/WOW』でアルバムデビューし、一躍注目を集める。


７月には、今年２月のカリーム・リギンスとロバート・ハーストとの共演をライブ録音した『JUNKO ONISHI presents JATROIT Live at BLUE NOTE TOKYO』をリリース。大西さんにとって実に24年ぶりのライブ盤であり、3人の音の会話が生み出す力強いうねりが堪能できる。SCOL-1034

高校時代にジャズに興味を持ち、米国のバークリー音楽大学へ進学。N．Y．を拠点に、20代前半でジャズ界のレジェンドたちとの共演を果たした大西さん。勉強のための長期休業を挟みながらもファンを魅了してきた彼女が、突如引退した背景には、実は父の死と母の介護があったのだそう。

結局、母には施設に入ってもらい復帰したが、罪悪感に更年期の不調が重なり、今も悩みは尽きないという。

「すべてを受け止めていくしかないんだなという境地ですね、もう。今は銀ちゃんと桃ちゃん（大西さんが抱いて写っている愛犬たち）が、心の支えです（笑）」

ライブでは、そんなあれこれをいったん全部捨て、共演者と自分の音だけに集中できる。

８月には大西順子トリオで『サマーナイト・ジャズ』に出演。二部では管楽器の3人をゲストに迎え、昨年リリースしたアルバム『Ⅻ』の収録曲を披露する予定だ。「この6人の編成で、11月には新宿ピットインで3日間のライブ録音も予定しています」また10月には、日野皓正クインテット、寺久保エレナカルテットとともに、トリオで『江戸川ジャズナイト』に出演。

「続けることの難しさを痛感している身だけに、日本のアーティストを使ってくれるジャズイベントが今後も続いていくよう、ぜひ成功させたいですね」