アート・カルチャー・ホビー

坂東玉三郎が 越路吹雪を歌う「愛の讃歌」コンサート

玉三郎さんを歌へと導いた
ボイストレーニング

歌舞伎界が誇る当代随一の女方である坂東玉三郎さんが、シャンソン歌手で舞台女優としても活躍した越路吹雪さんの代表的な名曲を歌う、「愛の讃歌」と題したコンサートが開かれます。坂東玉三郎と越路吹雪、そして歌。これらの深い縁で結ばれた素敵なコンサートが企画された背景について、玉三郎さんに伺いました。

玉三郎さんが“歌う”ことになったのは、ご自身が「ボイストレーニング」を始めたことによるもの。一般的にボイストレーニングは、声を生業とする職業の方がメンテナンスやスキルアップのために行うことで、特に歌を歌う人にとって必須だというイメージがあります。玉三郎さんが、ご自分にとってボイストレーニングが必要だと思ったのは、舞台に立っているときに感じた自らの声の変化でした。

「今から20年くらい前のことです。(片岡)仁左衛門さんの襲名披露公演のときに、『助六所縁江戸桜』の揚巻をやらせていただきました。すると、それまで揚巻を演じていたときの、いつもの声が出ないことに気づいたんです。友人にボイストレーナーがいたので対策について聞いてみたところ、ボイストレーニングを受けたほうがいいと勧められて、それから通うようになりました。内容については、台詞をいうトレーニングをするわけではありません。クラシック音楽の声楽をされている友人の指導だったので、ピアノで音程を取りながら練習をしていくのですが、発声練習だけでは音程や調整が取れなくなってきます。そこで譜面を見て歌い始めました。10年ほど続けると、“せっかくここまでやってきたんだから、歌を歌ったら?”といわれて、5年ほど前から、台詞のためのトレーニングと歌うためのトレーニングの両方をしています。結局は“歌”と“舞台で台詞をいう声”は同じなんです。専門家の歌を自分が歌うことができませんが、どうなっていたら専門家で、どこがどうなったらプロでないかということはわかってきます。発声するために必要な筋肉を、歌うことで鍛えていく。おしゃべりや休憩を入れて1回に1時間くらい、舞台があると通えないのですが、舞台がなければ週に1度か2度は行くようにしています。コンサートの前は、特にしっかりと整えます。舞台というのは、顔のシワが多いとか少ないとかではなく、姿勢が良くて、声がしっかりとしていれば若々しく見えるんです」

歌舞伎のために始めたことが歌うことへと導き、玉三郎さんの表現の世界がさらに広がりました。それでは、今回のコンサートのテーマである越路吹雪さんとは、どのようにして出会ったのでしょうか?

「1965年に今の(松本)白鸚さんが23歳でミュージカル『王様と私』の主演をなさったときに、相手役のアンナ先生を演じたのが越路吹雪さんでした。それを拝見した後に森繁久彌さんと共演されていた『屋根の上のヴァイオリン弾き』でお母さん役をされているのも拝見しました。それから、日生劇場で行われていた『ロングリサイタル』に、毎回通うようになったんです。聴き始めた頃はまだ10代だったので時間的に自由でしたが、21歳の頃は忙くても、欠かさずによく観に行っていました。拝見することが、自分の勉強にもなりましたし、楽しみでもありました」

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