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青木奈緖さんによる、“猫愛”たっぷりのエッセイ『オーライ ウトーリ ひなた猫』

2022.11.12

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〔今月の本/猫好き必読の書〕
『オーライ ウトーリ ひなた猫』青木奈緖 著

青木奈緖さん

青木奈緖(あおき・なお)
東京都生まれ。学習院大学文学部ドイツ文学科卒業、同大学院修士課程修了。翻訳・通訳などの仕事をしながら12年間ドイツに滞在。帰国後、『ハリネズミの道』でエッセイストとしてデビュー。『幸田家のことば』(小学館)ほか、著書多数。曾祖父幸田露伴、祖母の幸田 文、母の青木 玉と続く、幸田家四代の文筆家。

幸田家歴代の猫たちの思い出と
当代猫との“つつがない”日常



家庭画報本誌でもおなじみの青木奈緖さんによる、“猫愛”たっぷりのエッセイ。月刊『ねこ新聞』の連載をまとめたものだ。風変わりなタイトルは、奈緖さんの曾祖父、幸田露伴の戯曲『術競べ』に出てくる“呪文”の一部だという。

「『ねこ新聞』さんには祖母、母も作品を掲載していただきました。また、書籍は創業明治11年で、露伴もお世話になった春陽堂さんからの発行となりました。このような巡り合わせはこちらだけで物書きの代が重なっていてもダメで、先方も変わらずに続けてくださっているからこそ恵まれることです。

ご縁がつながるということはお互いにここまで無事に過ごしてきた証なわけですが、何事もなく平穏無事ということはまずありません。いくつもの山や谷を越えた結果として“つつがなく無事におります”と表現するわけです。その意味で、ご縁が続くということは自分ひとりではなし得ない、文字どおり“有難い”ことと思っています」

特に自宅で過ごす時間が増えている昨今、猫はどのような役割を果たしてくれているのだろうか。

「会話することはできませんし、細かい事情まで理解しているとは思えませんが、こちらの喜怒哀楽を確実に感じ取っているようです。特に哀しいことがあったとき、目やしぐさで気持ちを伝えてくれ、それがどれほどこちらのなぐさめになることか。高齢となった母の心の支えにもなってくれました。このように、こちらが助けてもらうことも多々あるのですが、それとは逆にこちらが猫の助けにならねばならないときもあります。

毎日の世話はもちろんですが、高齢になった猫の看取りも、避けて通れない日常の一部です。この連載の最終回の原稿を書いたのは2021年末ですが、今年になって、本書に登場する外猫の“トラチ”と家猫の“うりこ”を立て続けに見送りました。あとがきを書いていた頃、私はペットロスのどん底にいましたが、できる限りの手を尽くしたことがわずかななぐさめで、今は猫のいない日常が日一日と進んでいます。表紙の絵は“うりこ”の表情そのままで、私にとっては心にしみる一冊となりました」

最後に、愛猫家が多い家庭画報本誌読者へのメッセージをいただいた。

「猫好きの人が集まると、話が尽きません。猫好きさんは自分の飼い猫も、知り合いの猫も、通りすがりの猫も、分け隔てのない博愛ぶりを発揮します。ウチの猫だけがかわいいのではなくて、どの猫もみんなかわいいのです。猫は家族の一員ですし、命が終わってからも飼い主の心に生き続けます。幸田文、青木 玉、私と、3代で飼ってきた猫の話です。よろしければお手に取ってみてください」

オーライ ウトーリ ひなた猫

カバー・イラスト/マツモトヨーコ ブックデザイン/山口桃志

『オーライ ウトーリ ひなた猫』
青木奈緖 著/春陽堂書店


外猫の“トラチ”と、家猫の“うりこ”との日常と、母・青木 玉、祖母・幸田 文とともにこれまで一緒に暮らした猫の思い出を行きつ戻りつしながら進む、珠玉の猫エッセイ。月刊『ねこ新聞』に掲載された3年間分の人気連載をまとめた一冊。表紙のモデルは“うりこ”。

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構成・文/安藤菜穂子

『家庭画報』2022年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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