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大阿闍梨、塩沼亮潤さんの慈眼寺での暮らし。日常にこそ修行の心あり

2022.08.19

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大阿闍梨、塩沼亮潤 その達観の境地 最終回(全3回) 宮城県仙台市秋保の里山に佇む福聚山慈眼寺。このお寺の住職こそ、1300年間に2人のみが成し遂げた最難関の荒行「大峯千日回峰行」満行者、塩沼亮潤(しおぬま・りょうじゅん)大阿闍梨(だいあじゃり)。慈眼寺での日常から見える“達観の境地”に迫ります。前回の記事はこちら>>

慈眼寺での暮らし。日常にこそ修行の心あり


慈眼寺での暮らし「山に三方囲まれていて、東側のお天道さまが昇ってくるところは開いている。包まれている感じがいいんです」。後ろにある鷹ノ巣山へのリスペクトから山の四季と同じサイクルの庭に。天に向かってまっすぐに伸びていく桂の木が、庭で最も好きだという(本堂向かって左手前)。

「朝のお勤め、犬の散歩、畑の手入れ、料理。日々の暮らしを大切に過ごすことこそが、最高の修行なのです」

慈眼寺での暮らし修行僧の真嶋亮明さん(右)とスタッフの齋藤健也さん(中)と一緒に種まきを。

塩沼大阿闍梨が語る夢――
慈眼寺から元気を届けたい


慈眼寺での私の一日は毎朝5時、本堂で行う密教の修法から始まります。

慈眼寺での暮らし本堂で早朝の修法。

日々の料理を作るのは基本的に母と私。護摩修法の日のお昼ご飯は、お手伝いのかたの分も含め20人分ほどのカレーを作ることが多いのですが、玉ねぎを1時間ほどじっくり炒めるので、なかなか評判はいいですよ。手際のよさだけがすべてではなく、待つことも大事だと料理から学んでいます。

慈眼寺での暮らし左・畑から採れたてのにらが今晩の主役。右・野菜炒めは手際よく。「炒め物はスピード命。カレーは玉ねぎをじっくり炒めることでおいしさが増す。料理を通して、待つ大切さも学びました」。

畑作業に掃除、犬の散歩。就寝前には英語の勉強をしてから休みます。若いときは千日回峰行や四無行など、自分をストイックに追い込んで修行を重ね、成長を促していましたが、いろいろな人生経験を積んだ今、慈眼寺での暮らしの一瞬一瞬が修行となっていることを実感しています。内面の成長スピードは今のほうが早いかもしれません。

お師匠さんの五條順教師は、毎日淡々と目の前のことを精一杯行うかたでした。ずっと一定したリズムで大切に一日一日を生きるその安定感、隙のなさに感化された部分はやはり大きいと思います。

私が自分のお寺を開いた理由の一つは、辛さを抱えている人々に向けて自分なりの責任で発信したかったから。ラジオ番組『塩沼亮潤 大阿闍梨のstep by step』(interfm)、『今朝の一言』(Date fm)やYouTube、SNS、書籍などを通じてお一人にでも私の言葉が届き、生きる力になれることがモチベーションです。

以前、アメリカ在住の日本人のかたから「あまりに辛いことが続き睡眠薬を持って森に向かっていたとき、たまたま友人が塩沼大阿闍梨のYouTubeを送ってきてくれた。東日本大震災で苦しむ東北の皆さんに比べたら自分の悩みが小さく思えてきて、踏みとどまれました」とメッセージをいただいたことがあって。嬉しかった。皆さんのために、私ももっと成長しなければと気持ちを新たにしました。

「人生、失敗しても終わりではない。擦り傷、切り傷、いろいろな傷がついたとしても糧となり、そのすべてが次の挑戦」

人生は自分磨きの連続。思いが空回りしてうまくいかないこともありました。でも失敗しても終わりではない。いろいろな傷が糧となり味となるのです。今54歳の私ですが、100歳まで現役を目指したいと思っています。経験値が増える分、70歳過ぎたあたりからさらに強くなれるのではないかと思うと楽しみです。今はまだ下積み時代ですね。私のこれからの夢は、コロナ禍が落ち着いたら世界中から多くの人たちがこの地に来てくれること。

「慈眼寺に行ったら元気になった」といわれるような夢の国にするべく努力していきたい、そう考えています。

慈眼寺での暮らし

慈眼寺での暮らし「慈眼寺でいちばん好きな場所がこのドングリの道」と嬉しそうな笑顔で。

下のフォトギャラリーで詳しくご紹介します。

〔特集〕大阿闍梨、塩沼亮潤 その達観の境地

01 大阿闍梨、塩沼亮潤 その達観の境地

02 貴重な写真と宝物に見る「これまでの足跡」

03 大阿闍梨、塩沼亮潤さんの慈眼寺での暮らし




【この秋、慈眼寺特別ツアーの開催決定!】

今回の取材を契機に、家庭画報読者のかたに向けた特別なツアーの開催が決定しました。護摩修法と塩沼大阿闍梨の法話、そして松本圭介シェフのお料理がいただける充実の内容です。詳細は、発売中の家庭画報9月号のP.236 ~237、またはプレミアム旅行社までお問い合わせ下さい。(問)プレミアム旅行社 TEL:03‐3262‐6480(受付時間:平日10時30分~16時30分)





この特集の掲載号
『家庭画報』2022年9月号



『家庭画報』2022年9月号


撮影/鍋島徳恭 構成・取材・文/小松庸子
『家庭画報』2022年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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