アート・カルチャー・ホビー

【歌舞伎俳優ファイル】尾上右近さんが“静かなる興奮”を感じた弁天小僧菊之助役

〔今月の歌舞伎〕

尾上右近さん

音羽屋に縁のある2022年5月の團菊祭という公演で、弁天小僧菊之助というお役のオファーをいただいたときは“静かなる興奮”という言葉で表さざるを得ない思いでした。

弁天小僧は、(尾上)菊五郎のおじさまをはじめとして、先輩がたが大切になさっているお役です。

僕自身も2019年の自主公演「研の會」で勤めさせていただきましたのは、おこがましいことではありますが、音羽屋の芸を僕なりに継承したいという思いがありました。

そして菊五郎のおじさまに教えていただき、芸を受け継ぐ第一歩を踏み出したのですが、気持ちよい境地にまで辿り着けなかったという苦しい思いがありました。

團菊祭では自分を解き放ち、その自分の放てる空気を大事にして、僕を通じて新たな弁天小僧が誕生すればいいなと思っています。

弁天小僧菊之助

『弁天娘女男白浪』の弁天小僧菊之助。2022年5月、歌舞伎座。©松竹

2022年6月の歌舞伎座では(市川)猿之助さんと澤瀉十種の内『猪八戒』でご一緒させていただきます。

僕は子どもの頃、孫悟空が大好きで横浜中華街で衣装を買って見よう見まねで棒術に挑戦して遊んでいたことがあります(笑)。今回は猿之助さんが新たに手がける演目に居合わせて、僕自身にも孫悟空という役割があることは何よりも嬉しいです。

猿之助さんは“血よりも濃い水がある”ことを証明してくれた人。同じ舞台に立つことで今の僕自身の状態を思い知ることができます。その中で僕自身の役者としてのカラーも作っていかなければならないと思います。

尾上右近(おのえ・うこん)

1992年生まれ。父は清元宗家7代目清元延寿太夫。2000年歌舞伎座『舞鶴雪月花』の松虫で本名の岡村研佑として初舞台、7代目尾上菊五郎のもとで修業を積み、2005年に『人情噺文七元結(にんじょうばなしぶんしちもっとい)』のお久と『喜撰(きせん)』の所化で、2代目尾上右近を襲名。2015年より自主公演「研の會」を開催。2018年に7代目清元栄寿太夫を襲名。

 

今月の歌舞伎

【歌舞伎座】
六月大歌舞伎

~2022年6月27日(20日は休演)
●第一部 11時開演
一、『菅原伝授手習鑑 車引』 二、澤瀉十種の内『猪八戒』

●第二部 14時15分開演
一、『信康』 二、『勢獅子』

●第三部 18時開演
『与話情浮名横櫛』

※尾上右近さんは第一部の『猪八戒』に孫悟空役で出演します。

1等席1万6000円ほか
チケットホン松竹:0570(000)489

公演の詳細は歌舞伎公式総合サイトをご参照ください。
歌舞伎美人https://www.kabuki-bito.jp

表示価格はすべて税込みです。

※「澤瀉十種」の「瀉」のつくりは、正しくは“わかんむり”です
※「与話情浮名横櫛」の「櫛」は、お使いの端末によって字形が異なる場合があります。

撮影/岡積千可 構成・文/山下シオン ヘア&メイク/Storm〈Linx〉

『家庭画報』2022年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

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