アート・カルチャー・ホビー

誰もが知るあの曲も! 数々のヒット曲を手がけた故・小林亜星さんの足跡を辿る

〔今月の音楽〕

記憶に刻まれる音楽

小林亜星さん

「今はロマンティックが嫌われる時代になってしまいました。若い人が好むものの多くは、現実直視の音楽。それは、彼らがだまされなくなってしまったから。ロマンティックというのは、“だまされる”ということですから」

これは、去る2021年5月、惜しまれつつ世を去った小林亜星さんが、12年前のインタビューで語った言葉だ。

1932年東京生まれ。父の意向に沿い慶應義塾大学医学部に入るも、密かに経済学部に転部して、勘当されたという。

卒業後就職するが、音楽の夢をあきらめきれず作曲の道へ。レナンのCMソング「ワンサカ娘」を出世作に、親しみやすさ、新しさを併せ持つ数々の優れた音楽を世に送り出した。

訃報に接し、改めて業績を見ると、あれもこれも彼の作品だったのかと驚く。

同じインタビューで小林さんは、「世界的にいろいろなことが行き詰まりはじめているが、こういう時こそものを生み出すチャンス。不協和音に聞こえていたものが、なくてはならない音になる瞬間がある。僕も何か作らなくては」と話し、こんなことをいうのは最高の自惚れだと笑っていた。

冷静に社会と自らを見つめ、ロマンティックは失わない。その感性が、長く人の記憶に刻まれる音楽を生み出した。

小林亜星(こばやし・あせい)
作曲家、享年88。アニメ『魔法使いサリー』、CM「この木なんの木」はじめ数々のヒット音楽を手がけた。1976年「北の宿から」で日本レコード大賞を受賞。ドラマ『寺内貫太郎一家』では主演を務めるなど、多方面で活躍した。

編集部おすすめ

[CD]
『小んなうた 亞んなうた 〜小林亜星 楽曲全集〜』日本コロムビア

小んなうた 亞んなうた

幅広いジャンルの楽曲を手がけた小林亜星の仕事を、ジャンル別で4タイトルのCDに収録。なじみのあるなつかしい音楽が収められている。小林曰く、各ジャンル、ターゲットや目的に合わせて作曲の傾向は異なるとのこと。聴き比べもおもしろい。

●歌謡曲編〔COCP-40912 2750円〕
[収録曲]「北の宿から」(都 はるみ)、「野に咲く花のように」(ダ・カーポ)ほか

●コマーシャルソング編〔COCP-40913 2750円〕
[収録曲]レナウン「ワンサカ娘’ 64」、サントリー・オールド「人間みな兄弟」、チェルシー「明治チェルシーの唄」、日立製作所「日立の樹(この木なんの木)」ほか

●こどものうた編〔COCX-40908 2750円〕
[収録曲]「ピンポンパン体操」、「にんげんっていいな」、「あわてんぼうのサンタクロース」ほか

●アニメ・特撮主題歌編〔COCX-40917~8 3300円〕
[収録曲]「狼少年ケン」、「魔法使いサリー」、「ひみつのアッコちゃん」、「ガッチャマンの歌」ほか

表示価格はすべて税込みです。

構成・文/高坂はる香

『家庭画報』2021年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

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