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藤田美術館の名品物語・9月 千 利休が戦場で切り出した花入【動画あり】

9月 竹二重切花入 銘 よなが

《竹二重切花入 銘 よなが》千 利休作 桃山時代

秀吉の陣に供奉した利休が、味方の将兵が野営に用いた竹の枕を気に入り、それを3つに切り離して作った花入のうちの一つ。上部を「尺八」、中央部を「よなが」、下部を「円城寺」と銘じた。花入の裏側に黒漆で書いた利休の花押がある。

選・文=藤田 清(藤田美術館館長)

秀吉の寵愛を一身に受けた千 利休。天正18年、北条氏を討つための通称「小田原征伐」に同行している。約半年におよぶ同戦の陣中、竹の名産地韮山へ赴いて3つの花入を作った。「園城寺」「尺八」そしてこの「よなが」である。

竹の節と節の間(よ)が長いことに因んだ銘。それだけでなく、籠城による長期戦で疲れ、竹の枕で休む兵に思いを馳せて銘を付けたのだろうか。

陣中で茶を点てるなど、兵に寄り添い、思いやる優しさと、それさえも茶の湯に取り入れようとする貪欲さ。ひょっとするとこの戦、一番の勝者は利休かも知れない。

作品のエピソードトーク

動画で藤田 清館長と谷松屋戸田商店の戸田貴士氏による、本作品のエピソードトークをご覧いただけます。

撮影/小野祐次 構成/安藤菜穂子

『家庭画報』2021年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

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