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【歌舞伎俳優ファイル】中村米吉さんが考える、女方にとって大切なこととは?

2021.06.23

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〔今月の歌舞伎〕

中村米吉さん

僕にとって、2021年3月の南座で『義経千本桜』の静御前を勤めさせていただいたことは、大きなターニングポイントとなりました。

30代以下の若手だけでの公演だったこと、南座という劇場だったこと、(坂東)玉三郎のお兄さまにご指導をいただいたこと、(中村)橋之助くんが相手役だったこと、『吉野山』が義太夫だけで上演されたことなど、いろんなことが相まって、大きな経験をさせていただいたと思います。


『義経千本桜 吉野山』

『義経千本桜 吉野山』の静御前。2021年3月、南座。© 松竹

女方は、僕が勝手に思っていることの一つですが、自然の景色に喩えれば滝や山のように存在する立役さんの脇にある岩場の陰に咲いている花のようなものだと思っています。

最後まで気持ちよく演じられる役は、ごく一部だけでほとんどないといっても過言ではありません。

でも、それでこそ女方であり、お芝居の中でしっかりと存在し、悪目立ちすることなく、見せ場となるところではお役の魅力をお客さまに伝えることが、女方にとって大切なのだと思います。

2021年6月の歌舞伎座では『夕顔棚』の里の女を初役で勤めさせていただきます。坂東流の踊りを家元である(坂東)巳之助兄さんと共演させていただくことには、緊張感もプレッシャーもあります。

『ぢいさんばあさん』の伊織とるんのように、『夕顔棚』でも夕涼みをする老夫婦が若い里の男と女の踊りを見て、自分たちの若かりし日々を思い出してもらえるような素敵な空気感を出せたらいいなと思います。

中村米吉(なかむら・よねきち)

1993年、東京都出身。父は立役の5代目中村歌六。2000年7月、歌舞伎座『宇和島騒動』で5代目中村米吉を襲名し、初舞台。2011年から本格的に女方を目指し、2015年1月浅草公会堂『一條大蔵譚 奥殿』の常盤御前ほかで名題に昇進。愛らしく気品のある容姿で、著しい躍進を見せている女方のホープ。
 

今月の歌舞伎


【歌舞伎座】
六月大歌舞伎


~2021年6月28日
●第一部 11時開演
一、『御摂勧進帳』 二、『夕顔棚』
●第二部 14時10分開演
『桜姫東文章』下の巻
●第三部 18時開演
一、『京人形』 二、『日蓮』
※中村米吉さんは第一部の『夕顔棚』に里の女役で出演。

1等席1万5000円ほか
チケットホン松竹:0570(000)489

公演の詳細は歌舞伎公式サイトをご参照ください。
歌舞伎美人https://www.kabuki-bito.jp
表示価格はすべて税込みです。
構成・文/山下シオン 撮影/岡積千可 ヘア&メイク/髙橋 貢

『家庭画報』2021年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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