祝・還暦のきもの姿で。世界的指揮者・佐渡裕さんが、大竹しのぶさんと語る「情熱と音楽」

相思相愛の二人が語る　情熱と音楽、これからの人生

同じ舞台人として共鳴し合う佐渡 裕さんと大竹しのぶさん。お互いの姿が励みであり、インスピレーション源でもある、そんなご関係なのでしょう。

佐渡さんの還暦祝いに特別に仕立てられた、凜々しく粋なきもの姿で対談していただきました。

初めての出会い、新幹線でとっさに声をかけた再会

佐渡さん（以下、佐渡）　初めてお会いしたのは6年ほど前、司会をしていた『題名のない音楽会』（テレビ朝日）にゲスト出演していただいたのがきっかけでした。生の大竹しのぶさんに会えたのが本当に嬉しかったんです。エディット・ピアフを歌われて、ピアフが乗り移っているようで本当に素晴らしかった。


佐渡 裕さん（さど・ゆたか）
指揮者。京都府出身。京都市立芸術大学在学中に指揮活動を始める。欧州の一流オーケストラへの客演を重ね、国内では兵庫県立芸術文化センター芸術監督、シエナ・ウインド・オーケストラ首席指揮者を務める。現在オーストリアのトーンキュンストラー管弦楽団音楽監督としてウィーンを拠点に活動中。2020年に辻井伸行氏、2021年には反田恭平氏と共演したCDをリリース。「昔から人を喜ばせるのが好きなんです。だから、お客さまに喜んでもらえる“指揮者”の仕事が本当に楽しい」。

大竹さん（以下、大竹）　佐渡さんは収録前日に帰国されたので、指揮は別のかただったのですが、本番で歌を聴いてくださって、「涙を拭こうと思ったけど、これスーツから取れないハンカチなんですよ」と。すごく笑えました（笑）。とても純粋なかたというのが初めての印象です。


大竹しのぶさん（おおたけ・しのぶ）
女優、歌手。東京都出身。1975年に映画『青春の門』で本格デビュー。同年、NHK連続ドラマ小説『水色の時』に出演し、国民的女優となる。日本アカデミー賞最優秀賞主演女優賞など高い評価とともに、世代を超えて支持を受け、名実ともに日本を代表する女優として活躍を続けている。6月から、舞台『夜への長い旅路』に出演予定。「私もゴルフとかしてみたいと思っています。還暦を過ぎたといってもまだ体力もあるし、これからも楽しいことをたくさんしたいですね」。

佐渡　その後、新幹線で偶然同じ車両に乗り合わせたしのぶさんが、立ち上がって「佐渡さ～ん！」って手を振ってくださったんですよね。いやー可愛らしいかただなぁと思いました。

大竹　収録は数時間だけだったので、もっとお話ししたかったんです。その時も、どうしようかなと思う前に、きゃー佐渡さん！って声をかけたんだと思います。以前若い役者さんに「あなたがこの人と話したい、この人みたいになりたいと思ったら、ちゃんと言葉にして伝えたほうがいいよ」と言ったそうなんですが、自分で実践していたことに今気づきました（笑）。今は人と会えないから、余計にそういうことは大事かもしれませんね。

「お芝居の喜びは生きている実感。これからも演じていきたい」ー大竹さん

薄紅色地のきものに、動きのある波を織り出した帯、そして幸せをもたらすローズクォーツの帯留めで初夏のコーディネート。大竹さんの可憐な素顔を引き出す、女性らしくモダンな装いです。きもの・帯／ともに銀座もとじ和染　帯揚げ／加藤萬　帯締め／道明　帯留め／山清堂　バッグ・扇子／井澤屋

「人との絆を結ぶ音楽や芝居。さらに多くの人に届けたい」ー　佐渡さん

還暦を祝して特別に仕立てたきもの。ひと幅に80個の絣の亀甲文様を織り出した白地の本場大島紬に、染色家・高橋寛 作の角帯をあわせ、青磁色紋紗の透け感のある羽織を。187センチと背の高い佐渡さんの迫力と色気のある着こなしです。きもの・帯・小物一式／銀座もとじ 男のきもの　扇子／井澤屋