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妖艶で奇妙な作品にフォーカスした『あやしい絵展』。目を奪われる魅力の正体とは

2021.03.31

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〔今月の美術〕
『あやしい絵展』

妖艶で奇妙、心地よい美しさではないのに目が離せない。“妖(怪・奇)しい”作品に光を当てた「あやしい絵展」。

「この展覧会には、文学や歌舞伎などから主題を採った作品も数多く展示されるんですよ」と東京国立近代美術館 主任研究員の中村麗子さんは語る。

上村松園の大正期の作《焰》


上村松園《焰》 1918(大正7)年 東京国立博物館蔵 東京展のみ。~2021年4月4日展示 Image:TNM Image Archives

例えば、上村松園の大正期の作《焰》は『源氏物語』に登場する六条御息所をモチーフとして、愛情と表裏一体の「嫉妬」という感情が表現されている。

「芝居のストーリーや舞台での演出方法は、時代により人々の好みを反映して変更が加えられていきますよね。本展で紹介する絵画にも、物語に対する当時の画家の関心のありかが映し出されています」。

甲斐庄楠音

甲斐庄楠音《横櫛》 1916(大正5)年頃 京都国立近代美術館蔵 東京展は通期展示、大阪展は半期展示

甲斐庄楠音(かいのしょうただおと)の《横櫛》は、河竹黙阿弥作『処女翫浮名横櫛(むすめごのみうきなのよこぐし)』の「切られお富」と呼ばれる悪女が発想源となっている。

甲斐庄は、女性の内面に迫る描写で、近年再評価されている画家だ。

「物語には時代を超えて人の心を打つ人間の本質が表れています。ぎょっとするような表現もありますが、そうした物語に心を動かされたという点では昔の画家も今の私たちと同じです」。

『みだれ髪』

藤島武二《鳳(与謝野)晶子『みだれ髪』装幀》 1901(明治34)年 明星大学蔵 通期展示

また、藤島武二は、恋愛を情熱的に詠んだ与謝野晶子の初の歌集『みだれ髪』の装幀にアール・ヌーヴォー様式を取り入れた。

近代化により日本に導入された西洋美術は、個性や自由という新たな価値観をももたらしたのだ。

「多様性が重視される今、人間の本質の多様な捉え方を、本展を通じて感じ取っていただけたら幸いです」

『あやしい絵展』

※最新の情報は、公式サイトでご確認ください。

東京国立近代美術館 1階企画展ギャラリー
~2021年5月16日
休館日:月曜、5月6日(5月3日は開館)
ハローダイヤル:050(5541)8600
URL:https://ayashiie2021.jp
※大阪に巡回。会期中、展示替えあり。料金など詳細はウェブサイトを参照。
取材・構成・文/白坂由里

『家庭画報』2021年4月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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