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講師は能楽師・観世流シテ方の橋本忠樹先生! 心躍る能楽の世界に親しむ

2020.03.05

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心躍る能楽の世界に親しむ

「必要なものは、やる気。あとはこちらで用意しますので、お洋服で気軽にお越しください」と話す、能楽師・観世流シテ方の橋本忠樹先生。家庭画報の世界を体験できるカルチャーサロン「セブンアカデミー」で、能楽の講師を担当されています。

意味がわかれば能楽の世界がぐっと身近に


「実践的なことはもちろん、能を通じていろいろなことを知っていただきたいというのが、一番のテーマです」と、優しい笑顔と柔らかな京都の言葉で教えてくださるのは、“世界一古い演劇”と言われる能の声楽部分である「謡」(うたい)と、謡にのせて舞う「仕舞」(しまい)。


「世阿弥さんたちが生きた時代に出来上がった演目を、いまだに当時の言葉でずっと上演し続けているのが能。“何を言っているのかわからない”“何をやっているのかわからない”というのが、ご覧になった方の大半の感想だと思います。けれども謡を理解すれば、そこで語られている状況やセリフが意味を持って聞こえてきますし、舞っている意味もわかってくる。能を観るのも俄然楽しくなると思います」

心躍る能楽の世界に親しむ

教本を使いながら先生の声に唱和する清々しい時間


橋本先生の柔和な印象同様、講座の雰囲気も和やかです。「謡」の時間は教本を使い、まずはその日取り上げる謡曲に描かれている場面や物語、背景にある出来事や古典文学などについて解説。上演の際に使う小道具の説明などを挟みつつ、節づけの譜に気をつけながら、謡曲の詞章を読み解いていきます。

いざお手本として先生が謡い始めると、空気が一転するのはさすが。お腹の底から吐き出されたような深く朗々とした声が響き渡り、瞬時に厳かな気が流れます。その心地よい緊張感のなかで、先生に続いてお腹から声を出し、謡を唱和する受講生の皆さんは、とてもいい表情をしています。

心躍る能楽の世界に親しむ

正しい仕舞の姿勢を取ることが自然と体幹のトレーニングに


続く「仕舞」のお稽古は、足袋に履き替え、舞扇を前に正座で礼をするところから始まります。まずは構え(立ち姿勢)と足の運びを確認。先生がホワイトボードに舞の動きの図解を描いている間、鏡の前で能独特の体のラインができているかをチェック。擦り足で教室内を往復し、ウォーミングアップします。体の軸を意識し、下腹や内腿の筋肉を使うため、「これだけで筋トレになりますね」と受講生の皆さんから声があがるくらい体幹が鍛えられます。

心躍る能楽の世界に親しむ

声を出し、体を使うことで自分の中に眠っていた日本のリズムを取りもどす


次に、先生の謡に合わせ、扇を使って実際に仕舞の動きを習います。体の使い方のちょっとしたコツを教わりながら、先生の動きを真似ていきます。「空気の流れ、気持ちの流れを意識して、体で感じながら舞います」と先生。美しい姿勢と所作が身につくだけでなく、気持ちもしゃんとする時間です。

観世流シテ方の家に生まれ、3歳で初舞台を踏んだ橋本先生に、改めて能の魅力を尋ねると、「能には日本というものがすべて詰まっている気がするのです。そこが魅力です」と答えてくださいました。
「華やかなことばかりを取り上げず、この世に何かしらの未練を残して亡くなった人に、それを語らせる。そこに私は鎮魂の意味合いもあるように感じます。そう考えると、また能の見方もかわってきて、取り上げられている人に対する興味も出てくると思います。とはいえ、お稽古としては“明るく楽しく、そして真面目に”がモットーです。お稽古をしていくうちに、いろいろな側面を発見していただければいいと思うので、どうぞ肩の力を抜いてお越しください」
豊かで奥深い能の世界。日常とはまた違う時間を体感することでリフレッシュできるとともに、日本文化の素晴らしさを改めて味わえること間違いなしです。

心躍る能楽の世界に親しむ

セブンアカデミー講座「心躍る能楽の世界へ ~初級編~」

取材・文/岡﨑 香
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