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新たな御代(みよ)を祝う、伊勢神宮のお正月

伊勢神宮

令和初めてのお正月を迎える、日本。新たな御代のもと、伊勢神宮への関心はますます高まりすでに例年以上の参拝者が訪れているといいます。天皇の皇祖神であり、日本人すべての氏神様、伊勢神宮では、どのように新年をお迎えするのでしょうか。大晦日から1月11日まで、お正月にまつわる儀礼と祭事を見つめます。
上写真:初日の出(内宮)宇治橋前鳥居から、島路(しまじ)山ごしに昇る初日の出を正面に見ながら宇治橋を渡る。

大祓(内宮)

大祓(内宮)
浄衣(じょうえ)に立烏帽子(たてえぼし)姿の神職が地に伏して罪と穢れを祓う。手にした榊は、最後に息を吹きかけ、五十鈴川に流す。

【12月31日】大祓——おおはらい
祓い清め新年を迎える

大晦日の午後3時。伊勢神宮内宮(ないくう)を訪れる参拝者の間には、年越しという一大イベントが始まる前の、期待に満ちたどことなく落ち着かない雰囲気が漂っていました。

それも、真っ白な浄衣(じょうえ)に身を包んだ神職の列が祓所(はらえど)に到着するまで。いつしかざわめきが収まり、静寂のもと、大祓が始まります。

おおはらい

第一鳥居と五十鈴川ほとりの御手洗場(みたらし)の間に位置する祓所に整然と並ぶ神職。祓詞(はらえことば)と五十鈴川の水音、風の音、鳥の声のみが聞こえる静寂のなかで執り行われる。

大祓は、1月、4月、5月、6月、9月、10月、11月、12月の晦日(みそか=月末)に、大祭に先立って、神職や楽師が身についた罪と穢れを祓い、心身を清浄とする儀式。

特に6月と12月は、神職のみならず、神宮司庁職員全員の、半年分の罪と穢れが祓われます。

“穢れ”の語源は、“気が枯れる”。神の息吹をいただき、清まってから大祭に臨む、という意味合いもあるといいます。

おおはらい

榊の枝に麻苧(あさお)を巻いた大麻(おおぬさ)ですべての神職を清める。

合図も掛け声もないままに整然と進められる神職の動きは、特別な練習やリハーサルなどがなく、ただ見て、覚えるのみとか。

周囲で見学する参拝者もまた清まり、背筋が伸びるような心持ちになります。

篝火(内宮)

篝火(内宮)
宇治橋を渡り、右に折れた先の火除橋(ひよけばし)手前で焚かれる大篝火。直径約5メートルで、炎は3メートルほど上がる。全国の祟敬(すうけい)者による奉仕者団体「日本青伸(せいしん)会」が設置している。

【12月31日】篝火——かがりび
年越しの夜空を染める無病息災の炎

大晦日から元日にかけて、伊勢神宮には一晩中参拝者が訪れ、外宮(げくう)では午後6時頃、内宮では午後8時頃から大小の篝火が焚かれます。

参拝者のなかに散見されるのが、先端に焼き網を取りつけた竹竿や角棒を持った人々。

これは餅を焼くための自作の道具で、伊勢の人々の間では、篝火で焼いたお餅を食べるとその1年は風邪をひかないと言い伝えられているとか。

餅

篝火であぶった餅を食べると、その1年は風邪をひかないといわれる。

清らかな空気に満ちた神域に、餅の焼ける匂いや香ばしい醬油の香りが漂います。あらためて、伊勢神宮が聖なる地であると同時に世俗にも開かれていることを実感します。

古来、伊勢神宮では、天皇のみが幣帛(へいはく=神への供物)をお供えする“私幣禁断(しへいきんだん)”という制度がありました。

篝火

大晦日から元日にかけて、境内のいたるところで一晩中篝火が焚かれる。

しかし参拝まで禁じられていたわけではなく、平安時代末期には多数の参拝者を迎えた記録があります。

その後、鎌倉時代にはより広く庶民にも開かれ、江戸時代には“お伊勢参り”がブームに。改元を機に、今また足を運ぶ人が増えています。

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