学ぶ

【健気な草花たち】麦畑でも代表的な雑草「ナズナ」

5月・ナズナ

ナズナ

写真/イメージマート

作用する私たち

選・文=小林浩幸(雑草生態学者)

私の祖母はナズナをぺんぺん草と呼んでいた。実がぺんぺんと弾く三味線のバチに似ているからだそうだ。

昔からある道ばたの草と思っている方も多いだろうが、麦畑でも代表的な雑草で、麦のたねに紛れ込んで大陸から渡ってきた「史前帰化」と考えられている。

世界中の植物の標本を持つイギリスのキュー王立植物園が提供するナズナの分布図でも、日本は確かに「帰化」した国の色分けだ。麦畑で多く見られるのは、麦畑でよく使われてきた除草剤がナズナの属するアブラナ科にあまり効かないことにもよる。

昔も今も、こうした人の移動や生産活動などの一切の営みが、身近な場所の植生を作り出している。今年も麦秋の季節が近づいてきた。

ナズナ

写真/Anazawa/アフロ

『家庭画報』2023年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

Ranking今週の人気記事 ベスト5

家庭画報 最新号

7月号 6月1日発売

「北陸」三都物語

一部地域は輸送の関係で発売が遅れる可能性があります。

© SEKAI BUNKA PUBLISHING INC. All rights reserved.

Loading