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【声に出してみたい古典】『徒然草』が教えてくれる、ゆるやかで柔らかな心

3月・ゆるやかで柔らかな心を

徒然草

鎌倉幕府が崩壊して、南北朝の動乱が始まる頃書かれたといわれる『徒然草』。「つれづれなるままに、たわいもないことを、とりとめもなく書きつけたもの」と述べていますが、それどころか書かれている事柄は本質にぴたっと迫ってきます。時代、社会、人々、身の回りの出来事や物事……特に、人間の心、生き方・在り方について書かれている章段は一段と活気を帯び、共感して拍手したり……読むたびに惹かれる『徒然草』です。

選・文=加賀美幸子(アナウンサー)

『徒然草』は読んでいると元気が出てきます。その時の気持に合わせて章段を探します。

「万(よろず)のことは頼むべからず」……時の権勢も、財産も、人の行為も、すぐに変わるではないか。だから何事も頼りにしなければ、恨んだり悲しんだりすることもなくゆとりの心が生まれてくる。身の置き方も、前後左右に余裕があれば、つぶれ砕けることはないじゃないか、それがゆとりというもの……と兼好法師は語ります。

心も体もゆとりがないと、他と争って自分を損なってしまう。ゆるやかにして柔らかな心でいれば、少しも傷つくことはない……「その通り!」と私はいつも嚙み締めます。

特に今、国内外とも不安定な時代だからこそ、じっくり、(いえ、徒然なるままにでも)読み続けたい『徒然草』211段です。

イラスト/髙安恭ノ介

イラスト/髙安恭ノ介

声に出してみたい古典


アナウンサー・加賀美幸子さんの朗読と解説を音声でお楽しみください!

こちらからご視聴いただけます>>

『家庭画報』2023年3月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

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