カルチャー&ホビー

自然と高次元で一体化した縄文人。ムラの外にも広がった“場所愛”が日本人の心へ

2022.11.03

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私たちに生きる縄文の遺伝子 11月・自然の社会化

縄文11月

画像提供/茅野市尖石縄文考古館 与助尾根遺跡(長野県茅野市豊平南大塩)

長野県茅野市与助尾根遺跡は、1946年に発掘調査が行われ、1949年に最初の竪穴住居が復元された。現代にあって、縄文人が住まう場所に込めた思いを体感できる縄文集落となっている。遺跡は地域住民による保存会が維持してきた。その活動は縄文人に負けず現代人が抱く場所愛の発露として、縄文集落へ注がれている。

場所愛



文=小林達雄(考古学者)

朝起きて住居のウチからソトに出るとムラのウチ、その周りがハラ(原っぱ)、奥に進むとヤマ、その向こうには空が広がる。

このウチソトの入れ子構造が、近景中景遠景と重なり、この場を行動舞台とする縄文人の時間体験と相まって4次元の空間世界へと膨らみ、日常生活はもとより、文化風俗習慣にまで関係していく。

ムラは仲間意識を助長させる場であり、それによって縄文人の心には場所愛が生まれ、ムラに住み続ける力と理由に繫がった。

場所愛はムラだけにとどまらず、その外にも広がる。縄文人はハラの自然を多種多様に利用することで、生態学的な調和を崩すことなく共存共栄してきた。自然と縄文人との高次元の一体化の実現である。

こうした自然との関係から醸成された縄文の世界観は、日本人的心の形成の基盤となった。
『家庭画報』2022年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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