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竪穴住居が縄文人に「家族」の意識を芽生えさせた。炉から生まれた日本人の心

私たちに生きる縄文の遺伝子 6月・家族、イエ意識の芽生え

縄文

画像提供/津南町教育委員会 国指定史跡・日本遺産 沖ノ原遺跡 1号竪穴住居跡 複式炉(新潟県中魚沼郡津南町)

縄文時代中期後半の竪穴住居には特別なデザインの複式炉がある。炉は家屋の明かりであり、薪を燃やす設備であり、適当な岩石で囲えば直ちに機能する。にもかかわらず、形や大きさの揃った岩石を集め、向きを気にしながら配置し、前後の違いが生じるようデザインする。さらに炉の一端に土器を埋め込み、灰溜まりにしたらしい。こうした特別な炉が、住居を寝起きの空間から、家族意識を増長する場所へと変化させた。

炉を囲んで

文=小林達雄(考古学者)

人類と親しいゴリラは毎晩巣作りをする習性がある。しかし、縄文人は定住を決断するや直ちに耐久性のある寝処(ねどこ)を確保した。

竪穴住居は、地面の黒土を掘り下げて、固い赤土を床面(土間)とする。出入口一ヶ所を開けて、ぐるっと壁をめぐらす。中央に炉をしつらえた一部屋仕立てである。

炉には神が宿り、家族一同の顔を寄せ集める。炉を囲み、肩を寄せあって暮らすうちに、住居は単なる寝起きの場所ではなく安らぎをもたらす「イエ」となり、家族意識を増長した。

炉はやがて囲炉裏に引き継がれ、日本人の心とともに歴史を歩んできた。

『家庭画報』2022年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

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