学ぶ
2020/07/27
本当の豊かさ宿る「昭和遺産」 第6回(全14回) 世の中は、デジタル化、スピード化が急速に進み、私たちの暮らしはますます便利で快適なものになりました。しかし、はたして私たちは幸せを手にすることができたといえるのでしょうか。私たちの暮らしはどこかで、大切なものを置き忘れてしまっていないでしょうか。義理人情に厚く、おせっかいで、濃密な人間関係に支えられた昭和という時代。どこか不器用でアナログな“昭和”を見つめることで、合理性一辺倒ではない、暮らしの豊かさを再発見していきます。前回の記事はこちら>>
昭和の子どもは遊びの天才。お金をかけずに工夫して遊びました。
アザミの花籠
アザミの花はそれ自体が花籠のような形状をしている。これに草木の細い茎や枝を挿して取っ手をつけ、彩りよく季節の小さな野の花をあしらえば、可愛らしい花籠ができ上がる。
カボチャの虫籠
大切な虫を住まわせる、餌を与えなくていい虫籠。カボチャの片側を切り、中の種をかき出し、竹ひごで格子をつけるだけ。スイカやナスなどでも同様に作れる。
目はじき遊び
弾力のある小枝の端の一方を口にくわえ、湾曲させてもう一方の端を上まぶたに引っかける。この状態でにらめっこをする。我慢できずに口を開けて笑ったとたん小枝がはじけ飛ぶ。ひ弱な現代っ子には危なくてさせられない遊び。
竹の水鉄砲
竹の幹の空洞部分を使う。一方の端に節を1つ残しておき、キリで水が噴き出す穴を開ける。水を押し出す柄は筒よりも長めに切り、握る部分を作る。飛距離を競い合い遊ぶ。
スイカのお面
半分に割ったスイカの実を、スプーンなどできれいにかき出し、ナイフで目、鼻、口の形にくりぬき顔を作る。大ぶりの実は、子どもの小さな顔にぴったりの大きさ。
ソラマメ人形
マッチ棒をソラマメの実に刺し、胴体となる莢さやの左右に差し込み、マッチ棒に糸を結びつけて下へ垂らす。糸を引っ張れば腕が持ち上がり、緩めれば豆の重みで自然に下がる仕組み。
ヤツデの帽子
ヤツデの葉を2枚重ね合わせ、重なった部分を竹ひごで縫うように留める。頭の形に沿うように、竹ひごは平らに作るのがコツ。サトイモやハスなどの葉でも代用できる。
葉っぱの仮面
顔がすっぽり隠れてしまうほどの大きい葉っぱを見つけたら、目鼻の場所に穴を開ける。お化けにだってヒーローにだって、あっという間に変身できる。
笹舟
大きめの笹の葉の両端を折り曲げる。それぞれ2か所ずつ切り込みを入れ、端にできた輪を組み合わせる。そのままでもよいが、摘んだ花などをのせて、川に流して競争する。
吹き上げ玉
竹の先端部分をラッパ状に割り広げ、玉をのせて吹き上げて楽しむ。昔は草木の実などを玉にした。強く吹きすぎると玉が飛び出してしまい、弱すぎると上がらない。
ナスの堤灯
ナスの皮だけを残して中をくりぬき、下から短い釘や画鋲を刺してローソクがしっかりと立てられるようにする。ヘタの部分を糸で縛り、持ち手にする木の枝をくくりつけてもよい。
02 創建当時の姿に復原! 往年の赤レンガ造りの佇まいを受け継ぐ「東京駅丸の内駅舎」
03 まるで昭和にタイムスリップ! “懐かしの昭和”が盛りだくさんの町、豊後高田(大分県)
04 懐かしいあの頃に戻って! 東京・雑司が谷に現存する昭和レトロな駄菓子屋さん
05 今見直したい、日本の“涼の知恵”。「住まいの衣替え」という発想で夏を乗り切る
06 懐かしいあの頃に思いを馳せて。今も昔も楽しい、子供の草花遊び
07 花火で夕涼み、縁台に集う。昭和の「団欒のよりしろ」に今、学ぶべきこと
08 「“何もないけれど、どうぞ”といえるのが嬉しかった時代です」江上栄子さん(料理研究家)
09 夏といえば、なんといってもかき氷! 天然氷にこだわる老舗「阿左美冷蔵」
10 懐かしいあの味、家族で行った洋食屋――文・平松洋子(エッセイスト)
11 昭和の愛すべきシンボル。日中友好の親善大使 、パンダのランラン・カンカン
12 銭湯の人情に支えられて――文・ヤマザキマリ(漫画家・随筆家)
13 金継ぎや手縫い雑巾に宿る“もったいない”の心――談・小山薫堂(放送作家)
撮影/本誌・成瀬友康
本誌が考える【昭和遺産】とは、昭和時代に生み出されたもの、もしくは昭和時代に広く一般に親しまれたもので、次世代へ継承したいモノ、コト、場所を指します。
『家庭画報』2020年8月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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