美容・健康

正しく知って適切に対応する。新型コロナウイルス感染症の特徴や気をつけるべきこと

すべての世代が数年間注意する必要がある

Q.治療薬の開発は進んでいますか。

A.新型コロナウイルスは新しいウイルスであるため、このウイルスに対する治療薬の開発には数年はかかります。そこで、すでに別の目的で使われている薬を新型コロナウイルスに適用する臨床試験が世界各国で始まっています。

当センターでは米国国立衛生研究所(NIH)と連携して、エボラ出血熱の薬であるレムデシビルの臨床試験を始めました。

日本ではほかに新型インフルエンザ、HIV、喘息などの薬を使う臨床試験が始まっています。

参加症例数は多くないものの、使う人と使わない人を比べる厳密な臨床試験で、最も適切な薬を探します。数か月後には結果が出始めると思います。

Q.ワクチンは期待できるでしょうか。

A.ワクチンの開発は簡単なことではなく、ワクチンの専門家からは数年はかかるのではないかと聞いています。

今、BCGワクチンが効くかもしれないとして、臨床試験を始めている国もあります。

ワクチンはまだ感染していない人が感染する前に弱毒化したウイルスや菌の一部かその毒を体内に入れることで、獲得免疫をつけ、実際にかかったときに症状が強く出ないようにするためのものです。

ときにワクチンによって症状が強く出てしまうことがあります。今回の新型コロナウイルスではワクチンによって肺炎がひどくならないかを慎重に見ないといけません。

Q.多くの人がかかって集団免疫ができる可能性はありますか。

A.集団の中の多くの人がかかることでウイルスが新たな宿主を探しにくくなり、感染がストップするのが、集団免疫の考え方です。人口の7割程度の人が感染すると集団免疫を獲得すると考えられています。

新型コロナウイルスでも人と人の接触を断つなどの方策がうまくいけば、7割もの人が感染しなくても根絶できるかもしれません。

SARSは伝染性が低いものの病原性が高く、かかった人が亡くなる、あるいは感染させなくなるまで隔離されたことで、根絶状態になりました。ですから、集団免疫を待つ必要はなかったのです。

ただ、新型コロナウイルスはウイルス自体の生存戦略が巧みで、宿主であるヒトには症状を出しにくくし、社会に染み渡るように広がっています。

私自身はいずれ集団免疫ができて、普通の風邪のコロナウイルスのような存在になり、重症化する人は減るだろうと予想しています。

普通の風邪のコロナウイルスは免疫ができないために一生に何度も感染しますが、このウイルスは免疫ができるため、今感染した若い世代が高齢化したときには肺炎が重症化しにくい可能性がありますね。

いずれにしても新型コロナウイルス感染症は今後長く警戒していく必要があります。

当センターでは3月に全国の入院患者さん全員の症状や治療法などのデータを一元化するシステムを作り、各病院にデータ入力の協力を要請しています。

このデータ解析によって診断や治療に役立つ知見が出てくることを期待しています。

お話を伺った方

大曲貴夫先生

国立国際医療研究センター 国際感染症センター センター長
大曲 貴夫(おおまがり・のりお)先生


【新型コロナウイルス感染症に関する信頼できる情報源】

●厚生労働省:新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)ウイルスやその感染のしかた、予防や受診の目安などについて総合的に解説。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html

●厚生労働省:ご家族に新型コロナウイルス感染が疑われる場合家庭内でご注意いただきたいこと 〜8つのポイント〜
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000601721.pdf

●厚生労働省:手洗い
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000593494.pdf

〔特集〕新型コロナウイルス感染症 正しく知って正しく怖がる(全3回)

*2020年3月31日現在の情報をもとに記載しています。

取材・文/小島あゆみ イラスト/にれいさちこ

『家庭画報』2020年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

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