美容・健康

医療の見直しが始まった今、「賢明な選択」のために患者ができること

Choosing Wisely
〜米国の主な学会が、高額で有益でない診療行為を挙げ、一般に公表〜

Choosing Wiselyとは、「医療者と患者が、対話を通じて、科学的な裏づけ(エビデンス)があり、患者にとって真に必要で、かつ副作用の少ない医療(検査、治療、処置)の“賢明な選択”をめざす、国際的なキャンペーン活動」です(Choosing Wisely Japanのホームページhttps://choosingwisely.jpより)。

キャンペーンのきっかけは、2002年、「新ミレニアムにおける医のプロフェッショナリズム:医師憲章」でした。

これは、米欧の内科系専門医3団体が共同でまとめたもので、医師は患者の福利・患者の自律・社会正義(公正性)を守るのが原則と謳われています。

そこには、医療の質を向上させる責務や医療資源の適正配置に関する(無駄を回避する)責務も含まれていました。

その後、米国で国民医療費の高騰が深刻な問題となり、テキサス大学のHoward Brody教授(医療倫理学)が「医療改革における医療界の倫理的責任」と題した論文で、国民医療費の高騰には医療者にも責任があることを強調。

「最も高価で常用されているにもかかわらず、患者に有益でないと明らかになっている5つの診療行為を、生物統計学や医療政策学、科学的根拠のある医療に関する専門家を交えてリストアップする」ことを提案します。

これと並行して、米国内科専門医認定機構財団内にChoosingWiselyが発足、さまざまな領域の医学会によるリストアップの活動が始まりました。また、患者団体も参画して、患者に対してわかりやすい資料の作成などを行っています。

米国のChoosing Wiselyのホームページ(http://www.choosingwisely.org)では趣旨に賛同している学会のリストが掲載されています。また、患者自らが検査や治療について検索できるようになっており、アプリもあります。

日本では、医療の質・安全学会の「過剰医療検証とChoosing Wiselyキャンペーンワーキンググループ」を基盤として、2016年に任意団体Choosing Wisely Japanが発足し、活動を開始しました。

Choosing Wiselyの進展
〜2012年に発足、学会等から500以上のリストが公表され、注目される〜

2002年
米欧の内科系専門医3団体(米国内科専門医認定機構財団、米国内科学会、内科学欧州連合学会)が共同で医師に必要とされる能力や資質、倫理観をまとめた「新ミレニアムにおける医のプロフェッショナリズム:医師憲章」を発表。

2010年
米国のHoward Brody医師が「医療改革における医療界の倫理的責任」と題した論文で、最も高価で常用されているにもかかわらず、患者に有益でないと明らかになっている「5つ」の診療行為をリストアップすることを提案(「5つのリスト」)。

2012年
米国内科専門医認定機構財団内にChoosing Wiselyが発足。9つの学会等から「5つのリスト」が挙がる。

2016年
Choosing Wisely Japanが発足。

2018年 8月末現在
米国のChoosing Wisely では80以上の組織から550以上の項目がリストアップされている。

小泉俊三(こいずみ しゅんぞう)さん

小泉俊三(こいずみ しゅんぞう)さん

1971年京都大学医学部卒業、大和高田市立病院内科等に勤務後、75~80年に米国のYoungstown Hospital AssociationやYale大学関連St. Vincent’s Medical Centerで外科の研修を受ける。帰国後、天理よろづ相談所病院腹部一般外科で診療、89年から総合診療教育部副部長を兼任。94年佐賀大学医学部附属病院総合診療部教授、2011年から一般財団法人東光会 七条診療所 所長。

取材・文/小島あゆみ イラスト/(c)tocko〈LAIMAN〉(タイトル)

「家庭画報」2018年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

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