美容・健康

医療の見直しが始まった今、「賢明な選択」のために患者ができること

過剰な診断や治療はどうしても起こりがち

診療の場では、医師は患者への利益がないと科学的に明らかになっている方法でも検査や投薬などを行っていることがあります。

「患者さんの状態がいま一つはっきりしないとき、医師は病気の見落としを避けるために過剰に検査や治療をする傾向がみられます」と話すのは、Choosing Wisely Japan 代表で、京都市の七条診療所 所長の小泉俊三さんです。

「医療には不確実な要素があり、何もしないで様子をみるほうが適切な場合がよくあります。しかし、医師はできるだけ早く診断を下し、患者さんを治すことを自らの仕事と考えていて、どうしてもそうなってしまうのです」。

また、患者も検査や治療をしてもらうと安心と考え、ほんとうに必要かどうかわからないままに検査や薬の処方を医師に要求することがあります。さらに医師も患者も新しい診断や治療の方法はよりよい結果に結びつくに違いないと思い込みがちです。

「そうして、過剰な医療が行われます。とはいえ、不必要な検査や治療であれば、患者さんにとっては費用も時間もかかりますし、その検査や治療によって副作用など有害な事象を経験する可能性もあります」と小泉さん。

その顕著な例は、多種類の薬が処方された場合です。薬の相互作用によって効果や副作用が増強されて体調をくずすこともあります。

小泉さんは日本の総合診療医の草分け的存在です。

2012年頃、医療の質に関する文献でChoosing Wiselyを知り、「患者にとって真に必要で、かつ副作用の少ない医療(検査、治療、処置)をめざす」という趣旨に共感。

16年に志を同じくする仲間とChoosing Wisely Japanを立ち上げました。

日本のジェネラリスト教育コンソーシアムの「5つのリスト」

上は、Choosing Wisely Japan副代表の徳田安春医師(群星沖縄臨床研修センター プロジェクトリーダー兼センター長)らのグループが15年に掲げた、総合診療医らが避けるべき5つの医療行為のリストです。

一見、健康な人に検査を推奨しないといった項目は当たり前のように思えますが、これまで実際に行われてきた医療行為なのです。

現在、感染症や救急医療などの分野でも学会や病院などによる5つのリストの検討が始まっています。

なお、Choosing Wisely Japanのホームページには、米国内科専門医認定機構財団によるChoosing Wiselyの記事の翻訳が掲載されています。

抗菌剤や大腸内視鏡検査の必要性、変形性膝関節症にサプリメントが効かないこと、心疾患・腎疾患がある人の鎮痛薬使用の注意点、子どもの視力ケア、腰痛の治療といずれも身近な病気の対処に役に立つ情報です。

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