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〔女性外来を訪ねて〕ホルモン療法、漢方薬、栄養指導などを駆使。難しい治療も、基本は土台を整えること

2023.06.14

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天野惠子先生のすこやか女性外来 第13回(04)日本の女性医療、性差医療の先駆者で、ご自身の更年期体験も山ほどお持ちの、天野惠子先生の連載「すこやか女性外来」。今回は、天野惠子先生が推薦する全国・女性外来を紹介します。

【天野惠子先生が推薦】全国・女性外来を訪ねて
京都大学医学部附属病院 産科婦人科 ヘルスケア外来 江川美保先生


●前回の記事
天野惠子先生がすすめる、認知症予防のために今からできる5つのこと

ホルモン療法、漢方薬、栄養指導などを駆使。難しい治療も、基本は土台を整えること


江川美保先生


江川美保(えがわ・みほ)
京都大学大学院医学研究科婦人科学産科学助教。医学博士。1994年京都大学医学部卒業。2010年ヘルスケア外来を開設し月経異常、月経困難症、月経前症候群、更年期障害などに対応。診療経験を通して未解決課題を見出し、女性健康医学研究室を主宰して健康管理の新たな方法を模索している。女性ヘルスケア専門医・指導医ほか。

大学病院の役割として難しい症例にも対応


担当医師たちディスカッションを重ねて診療にあたる「ヘルスケア外来」の担当医師たち(提供/京都大学医学部附属病院)

月経サイクルやライフステージの変化に伴う症状に対応し、将来の健康を見越した予防医学を基本とするヘルスケア外来。他で治療したが改善しない、一般的な治療が合わないなど主に院内外から紹介された症例をていねいに診ています。

案内板外来の主旨を説明した案内板。

江川美保先生は、併存する病気や強いメンタル症状のある更年期障害やPMS(月経前症候群)など複雑なケースも担当し、他の診療科と協力して治療に当たることもしばしば。

「症状は、体や心がケアを求めているサインです。対話と身体診察・検査を通して、それぞれ改善への次の一手を模索します」。

問診票診察前に更年期や月経前の症状を記入する問診票。

症状をやわらげ、同時に心と体を整える


江川先生が診療で重視するのは、症状を直接やわらげる処方と同時に土台を整えること。それが漢方薬やホルモン療法などの治療の有効性を左右します。不足しがちなたんぱく質や鉄分を意識して摂り栄養を整える。物事のとらえ方を変えて心を整える──。
説明ツールパンフレット、薬のサンプルなどの入った「説明ツール」。

「特に多くの複雑な課題を抱えた患者さんは何からとりかかればよいか途方に暮れるものです。『たんぱく源としてまずは栄養満点のゆで卵を』など、ささやかなことでも少しずつ好循環の変化があらわれるように根気強く応援します」

資料理解しないと治療は続かない。漢方医学的所見や漢方薬の効能を資料を用いて説明。

元気を取り戻し始めた患者さんが「整えるってこういうことなんですね」と話されると、「その調子!」とうれしくなる江川先生。

「更年期は、今までの頑張りをねぎらい、次のステージに踏み出すシフトチェンジの時期。心と体と生活をチェックし、“こうありたい自分”に近づくきっかけにしてほしいですね」。

Information

京都大学医学部附属病院

京都市左京区聖護院川原町54

天野惠子先生のすこやか女性外来

1「更年期は女性の体の“変化のはじまり”」
1−1 更年期と“その後”の元気のために、体の変化を知りましょう
1−2 女性の健康の守り神・エストロゲンがゼロになったら、生活習慣で補いましょう
1−3 更年期の不調や病気予防に! 女性医療の先駆者が教える生活習慣の「基本5か条」
1−4 女性外来を訪ねて「伊豆美レディスクリニック」

2「だるさ、頭痛、冷え、動悸も。更年期の不調は全身に」
2-1 10年間、我慢するのはもったいない。自分に合う対処法を見つけましょう
2-2 更年期の症状が全身に出るのはなぜ? 訴えの多い10の不調と対処法
2-3 更年期症状の程度を知り、適切な対処法を。専門医も使う簡易テストでセルフチェック!
2-4 女性外来を訪ねて「春日クリニック」

3「不眠、イライラ、うつ、思考力低下。更年期は心も脳も不安定」
3-1 不眠、イライラ、うつ、思考力低下…。更年期のメンタルの不調を正しく知ろう
3-2 更年期のメンタルヘルスを左右する3つの物質とは。減少すると起こる不調は?
3-3 更年期のメンタルを改善するには? 症状に応じた漢方薬や生活習慣の見直しを
3-4 女性外来を訪ねて「こころとからだの杉本クリニック」

4「女性の元気を支える“骨・筋肉・血流”の三本柱」
4-1 更年期以降の人生を健やかに過ごすには、“骨・筋肉・血流”の三本柱が大切です
4-2 骨量と筋肉量は何歳からでも改善できる! まず年齢による変化を知りましょう
4-3 脳と心臓の健康を保つカギは「血流」。動脈硬化を防ぐために注意したい3つのリスク
4-4 女性外来を訪ねて「和歌山ろうさい病院 女性専門外来」

5「骨粗しょう症を予防し、“転んでも折れない骨”をつくる」
5-1 骨粗しょう症を予防するために、骨量維持は更年期女性の重要な“ミッション”!
5-2 “女性であること”が骨粗しょう症のリスク!? 骨量減少に気づくために5年に1度の骨密度検査を
5-3 骨は自分でつくるもの。骨粗しょう症を防ぐために、実践したい食事と運動とは?
5-4 女性外来を訪ねて「アットホーム表参道クリニック」

6「“高血圧なんて関係ない”は大きな間違い。今から減塩を」
6-1 自分には関係ないと思っていませんか? 更年期以降、誰にも高血圧のリスクが生じます
6-2 加齢とともに女性の血圧は3段階で変化します。自分の“高血圧リスク”を知って対策を
6-3 血圧を下げるための7か条とは? 自然に減塩できる野菜スープのレシピも
6-4 女性外来を訪ねて「山梨県立中央病院 女性専門家」

7「心筋梗塞や狭心症のリスクを高める女性の糖尿病」
7-1 女性の糖尿病は男性以上に高リスク! 更年期以降は血糖値を上げない生活を
7-2 血管に及ぼす影響は大! 女性こそ注意すべき「糖尿病」とはどんな病気?
7-3 自分の“糖尿病リスク”を知って、今から対策を! 実践したい生活習慣もご紹介
7-4 女性外来を訪ねて「ソフィア北円山クリニック」

8「女性の脂質異常症は、過剰に怖がらなくて大丈夫」
8-1 コレステロールも中性脂肪も必要な栄養素!? 性差で考える“女性の脂質異常症”
8-2 更年期以降の女性は脂質異常症になりやすい体に。コレステロールが増えても慌てないで!
8-3 コレステロールは自力でコントロール! 薬の前に生活習慣を改善しましょう
8-4 女性外来を訪ねて「順天堂大学医学部附属浦安病院 女性専用クリニック」

9「更年期から気をつけたい心臓の血管にかかわる病気」
9-1 更年期以降増え始める女性の「狭心症・心筋梗塞」。気をつけたい心臓の血管にかかわる病気
9-2 更年期以降気をつけたい「狭心症・心筋梗塞」とはどんな病気? 男性との違いも解説
9-3 狭心症・心筋梗塞の症状には性差が! 女性の症状は広範囲に及び、診断されにくい
9-4 女性外来を訪ねて「高知いちょう医院」

10「動悸は更年期以降によくある症状。心配のいらない加齢現象です」
10-1 動悸は自律神経の乱れで生じる、更年期症状の一つ
10-2 「動悸・息切れ、不整脈」は中高年女性に多く、精神的ストレスの影響も
10-3 動悸・息切れが起きたときの対処法や予防法
10-4 女性外来を訪ねて「西松園内科医院」

11「20年後、30年後の元気のために更年期から脳卒中の予防を」
11-1 くも膜下出血は女性に多い。50歳になったら全身の健康チェックを行いリスクを洗い出しましょう
11-2 脳卒中には血管が詰まるタイプと破れるタイプがある
11-3 家族歴のある女性は特に気をつけたい「くも膜下出血」
11-4 女性外来を訪ねて JCHO久留米総合病院 女性総合診療科「なでしこ」

12「今から始める認知症対策。恐れるより、まず知ることからを」
12-1 女性はリスクが高いからこそ、“ならないための心がけ”が大事。予防の一歩は正しい知識から
12-2 認知症の7割近くはアルツハイマー型認知症
12-3 更年期の物忘れは、認知症とは違います
12-4 女性外来を訪ねて「岡山中央病院セントラル・クリニック伊島 ウィミンズメディカルセンター」

13「認知症は“生活習慣病”です。予防のために今、できること」
13-1 認知症は“生活習慣病”です。日常生活の改善と難聴対策も忘れずに
13-2 研究からわかった認知症のリスク要因
13-3 天野先生がすすめる5つの認知症予防策
13-4 女性外来を訪ねて「京都大学医学部附属病院 産科婦人科 ヘルスケア外来」

*NPO法人性差医療情報ネットワーク「女性外来マップ」では、女性外来を開設している医療機関(2018年現在約300か所)のリストを公開。 URL:http://www.nahw.or.jp/hospital-info *「女性外来オンライン」(天野惠子先生主宰)では、天野先生ご自身が厳選した女性の健康の回復や維持に役立つ信頼性の高い情報を発信している。 公式サイト「女性外来オンライン」:https://joseigairai.online/ YouTube「女性外来オンラインチャンネル」はこちら>>
撮影/本誌・伏見早織 取材・文/浅原須美

『家庭画報』2023年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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