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認知症は“老いに伴う病気”。7割近くはアルツハイマー型認知症

2023.04.26

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天野惠子先生のすこやか女性外来 第12回(02)女性の平均寿命は87.57歳(2022年)。最期まで自分らしく生きたいと願う私たちの将来に、「認知症」という大きな壁が立ちはだかるかもしれません。しかし、「更年期からの心がけ次第でリスクは減らせます」と天野先生。まず「知る」、そして「予防する」――。認知症対策をお伝えします。前回の記事はこちら>>

“自分らしく長生き”を叶えるために
今から始める認知症対策。恐れるより、まず知ることから


天野惠子(あまの・けいこ)先生
天野惠子先生

静風荘病院特別顧問、日本性差医学・医療学会理事、NPO法人性差医療情報ネットワーク理事長。1942年生まれ。1967年東京大学医学部卒業。専門は循環器内科。東京大学講師、東京水産大学(現・東京海洋大学)教授を経て、2002年千葉県立東金病院副院長兼千葉県衛生研究所所長。2009年より静風荘病院にて女性外来を開始。

認知症は“老いに伴う病気”
脳細胞が死んだり働かなくなって記憶力や判断力が低下


80代前半女性の4人に1人が認知症に
●認知症患者の年齢層別割合(男女比較)

認知症患者の年齢層別割合(男女比較)

『都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応』認知症対策総合研究事業(平成23~24年度)総合研究報告書をもとに作成

認知症とは、さまざまな原因で脳の細胞が死んだり働きが悪くなったりして記憶力や判断力の低下などの障害が起こり、社会生活や対人関係に支障が出てくる病気。その状態がおよそ6か月以上続いた場合に診断されます。

上のグラフのように加齢とともに増え、女性は80代前半の約4人に1人、80代後半の約半数、90歳以上では約7割の有病率。

日本の認知症患者は約600万人(2020年)。2025年には約700万人(65歳以上の5人に1人)になると予測されています。

原因はさまざま。最も多いのは脳の一部が萎縮するアルツハイマー型認知症


アルツハイマー型が約7割、血管性が約2割
●認知症の内訳

認知症の内訳

*その他の内訳/アルコール性0.4%、混合型3.3%、上記以外3.9% 『都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応』認知症対策総合研究事業(平成23~24年度)総合研究報告書をもとに作成

認知症はいくつかの種類があり、起こり方も症状も異なります。その中で最も多く全体の7割近くを占めるのが、脳神経に異常が生じて脳の一部が萎縮して起こるアルツハイマー型認知症。

脳が萎縮すると海馬がダメージを受ける
●記憶のメカニズムと認知症の物忘れ

記憶のメカニズムと認知症の物忘れ

日常的な出来事や勉強して覚えたことは一時的に海馬に保存され(短期記憶)、その後、大脳皮質に送られて情報として刻み込まれる(長期記憶)。脳が萎縮するアルツハイマー型認知症では海馬が真っ先にダメージを受け、昔の出来事は覚えていても新しいことを覚えられなくなる。

物忘れや物事を覚えられないといった典型的な症状は、脳の海馬という器官の細胞の死滅によって起こると考えられています(上図参照)。

次に多いのが約2割を占める血管性認知症。アルツハイマー型認知症と血管性認知症を合併している場合も少なくありません。

●起こり方も症状も異なる 認知症の主な4種類
起こり方も症状も異なる 認知症の主な4種類

日常生活に支障のない軽度認知障害(MCI)とは?


同年代に比べ物忘れの程度がかなり強いけれど日常生活に支障はない。このようないわば“正常と認知症の中間”の状態を軽度認知障害(MCI)といいます。

年間10〜30パーセントが認知症に進行するとのデータがある一方、運動プログラムの実施がMCIの認知機能向上に有効であるとの研究結果も出ており、この段階で対策を講じることが重要です。




*NPO法人性差医療情報ネットワーク「女性外来マップ」では、女性外来を開設している医療機関(2018年現在約300か所)のリストを公開。
URL:http://www.nahw.or.jp/hospital-info

*「女性外来オンライン」(天野惠子先生主宰)では、天野先生ご自身が厳選した女性の健康の回復や維持に役立つ信頼性の高い情報を発信しています。

公式サイト「女性外来オンライン」:https://joseigairai.online/

YouTube「女性外来オンラインチャンネル」はこちら>>

天野惠子先生のすこやか女性外来

1「更年期は女性の体の“変化のはじまり”」
1−1 更年期と“その後”の元気のために、体の変化を知りましょう
1−2 女性の健康の守り神・エストロゲンがゼロになったら、生活習慣で補いましょう
1−3 更年期の不調や病気予防に! 女性医療の先駆者が教える生活習慣の「基本5か条」
1−4 女性外来を訪ねて「伊豆美レディスクリニック」

2「だるさ、頭痛、冷え、動悸も。更年期の不調は全身に」
2-1 10年間、我慢するのはもったいない。自分に合う対処法を見つけましょう
2-2 更年期の症状が全身に出るのはなぜ? 訴えの多い10の不調と対処法
2-3 更年期症状の程度を知り、適切な対処法を。専門医も使う簡易テストでセルフチェック!
2-4 女性外来を訪ねて「春日クリニック」

3「不眠、イライラ、うつ、思考力低下。更年期は心も脳も不安定」
3-1 不眠、イライラ、うつ、思考力低下…。更年期のメンタルの不調を正しく知ろう
3-2 更年期のメンタルヘルスを左右する3つの物質とは。減少すると起こる不調は?
3-3 更年期のメンタルを改善するには? 症状に応じた漢方薬や生活習慣の見直しを
3-4 女性外来を訪ねて「こころとからだの杉本クリニック」

4「女性の元気を支える“骨・筋肉・血流”の三本柱」
4-1 更年期以降の人生を健やかに過ごすには、“骨・筋肉・血流”の三本柱が大切です
4-2 骨量と筋肉量は何歳からでも改善できる! まず年齢による変化を知りましょう
4-3 脳と心臓の健康を保つカギは「血流」。動脈硬化を防ぐために注意したい3つのリスク
4-4 女性外来を訪ねて「和歌山ろうさい病院 女性専門外来」

5「骨粗しょう症を予防し、“転んでも折れない骨”をつくる」
5-1 骨粗しょう症を予防するために、骨量維持は更年期女性の重要な“ミッション”!
5-2 “女性であること”が骨粗しょう症のリスク!? 骨量減少に気づくために5年に1度の骨密度検査を
5-3 骨は自分でつくるもの。骨粗しょう症を防ぐために、実践したい食事と運動とは?
5-4 女性外来を訪ねて「アットホーム表参道クリニック」

6「“高血圧なんて関係ない”は大きな間違い。今から減塩を」
6-1 自分には関係ないと思っていませんか? 更年期以降、誰にも高血圧のリスクが生じます
6-2 加齢とともに女性の血圧は3段階で変化します。自分の“高血圧リスク”を知って対策を
6-3 血圧を下げるための7か条とは? 自然に減塩できる野菜スープのレシピも
6-4 女性外来を訪ねて「山梨県立中央病院 女性専門家」

7「心筋梗塞や狭心症のリスクを高める女性の糖尿病」
7-1 女性の糖尿病は男性以上に高リスク! 更年期以降は血糖値を上げない生活を
7-2 血管に及ぼす影響は大! 女性こそ注意すべき「糖尿病」とはどんな病気?
7-3 自分の“糖尿病リスク”を知って、今から対策を! 実践したい生活習慣もご紹介
7-4 女性外来を訪ねて「ソフィア北円山クリニック」

8「女性の脂質異常症は、過剰に怖がらなくて大丈夫」
8-1 コレステロールも中性脂肪も必要な栄養素!? 性差で考える“女性の脂質異常症”
8-2 更年期以降の女性は脂質異常症になりやすい体に。コレステロールが増えても慌てないで!
8-3 コレステロールは自力でコントロール! 薬の前に生活習慣を改善しましょう
8-4 女性外来を訪ねて「順天堂大学医学部附属浦安病院 女性専用クリニック」

9「更年期から気をつけたい心臓の血管にかかわる病気」
9-1 更年期以降増え始める女性の「狭心症・心筋梗塞」。気をつけたい心臓の血管にかかわる病気
9-2 更年期以降気をつけたい「狭心症・心筋梗塞」とはどんな病気? 男性との違いも解説
9-3 狭心症・心筋梗塞の症状には性差が! 女性の症状は広範囲に及び、診断されにくい
9-4 女性外来を訪ねて「高知いちょう医院」

10「動悸は更年期以降によくある症状。心配のいらない加齢現象です」
10-1 動悸は自律神経の乱れで生じる、更年期症状の一つ
10-2 「動悸・息切れ、不整脈」は中高年女性に多く、精神的ストレスの影響も
10-3 動悸・息切れが起きたときの対処法や予防法
10-4 女性外来を訪ねて「西松園内科医院」

11「20年後、30年後の元気のために更年期から脳卒中の予防を」
11-1 くも膜下出血は女性に多い。50歳になったら全身の健康チェックを行いリスクを洗い出しましょう
11-2 脳卒中には血管が詰まるタイプと破れるタイプがある
11-3 家族歴のある女性は特に気をつけたい「くも膜下出血」
11-4 女性外来を訪ねて JCHO久留米総合病院 女性総合診療科「なでしこ」

12「今から始める認知症対策。恐れるより、まず知ることからを」
12-1 女性はリスクが高いからこそ、“ならないための心がけ”が大事。予防の一歩は正しい知識から
12-2 認知症の7割近くはアルツハイマー型認知症
12-3 更年期の物忘れは、認知症とは違います(5/10公開予定)
12-4 女性外来を訪ねて「岡山中央病院セントラル・クリニック伊島 ウィミンズメディカルセンター」(5/17公開予定)
撮影/本誌・伏見早織 イラスト/佐々木 公〈sunny side〉 取材・文/浅原須美

『家庭画報』2023年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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