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【季節のオノマトペ】詩人・萩原朔太郎は「そよそよ」をどう使った?

2023.05.05

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5月・心地よい風

写真/西田高生〈アフロ〉

写真/西田高生〈アフロ〉

そよそよ


選・文=山口仲美(日本語学者)


風がそよそよと吹く気持ちのよい季節です。新緑の若葉が風にそよぐ様子はため息が出るほど、美しい。現代では「そよそよ」は、風が心地よく静かに吹く様子を表しますね。

でも、古くは、着物を着た女性が歩く時にたてるひそやかな衣擦(きぬず)れの音も表していました。物越しに聞く「そよそよ」する衣擦れの音は、男性が胸をときめかせるかすかな音でもあったのです。

実は、現代でも、「そよそよ」を男性がこの上なく魅せられるほのかな音や様子に使っている詩人がいます。萩原朔太郎です。「指なんかはまことにほつそりとしてしながよく まるでちひさな青い魚類のやうで やさしくそよそよとうごいてゐる様子はたまらない」(『その手は菓子である』)と彼は歌っています。

女性のふっくらした手に付いている白魚のような指。彼は、そうした女性の手に魅せられ、食べてしまいたいというのです!

連載「季節のオノマトペ」記事一覧はこちら>>> 

『家庭画報』2023年5月号掲載。 この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

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