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林真理子さん『成熟スイッチ』、老いてなお挑戦する人生謳歌法【著者インタビュー】

2023.04.05

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〔今月の本/素敵な大人に〕
『成熟スイッチ』林 真理子 著

林 真理子

林 真理子(はやし・まりこ)
1954年山梨県生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、コピーライターとして活躍。1982年『ルンルンを買っておうちに帰ろう』がベストセラーに。1986年「最終便に間に合えば」「京都まで」で第94回直木賞受賞。2018年『西郷どん!』がNHK大河ドラマの原作に。同年紫綬褒章受章。2020年第68回菊池寛賞受賞。2022年7月、日本大学理事長に就任。

年をとってからの成長が“成熟”。
老いてなお挑戦する人生謳歌法



2022年11月の発売直後から話題となり、版を重ねている本書。約50万部のベストセラーとなった『野心のすすめ』以来、新書は9年半ぶりとなる。

「若い人向けに書いた『野心のすすめ』は、ありがたいことにたくさんのかたに読んでいただきました。この本は、それよりも上の世代、中高年のかたがたに向けて書いたものです。2022年7月に日本大学の理事長に就任したことが図らずも“林 真理子”のプロモーションになり、この本にも注目していただいているのかもしれません」

本書は、“成熟”を4つのテーマに分類し、そのスイッチを押すための秘訣をまとめたもの。瀬戸内寂聴さん、渡辺淳一さんら文壇の先輩から受けた薫陶をはじめ、林さん自身の経験から育まれた、生きる知恵ともいえる。

若くして華々しくデビューした林さんが“成熟”を意識し始めたのは、いつ頃からなのだろうか?

「60歳を過ぎてから、“人は老いるのではなく成熟していかなければ”ということを意識するようになりました。私たちの年代は、それなりの年を重ねてはいますが、18歳で進学などのために都会に出たりして、冠婚葬祭をはじめとする大人としての知識を親からあまり教わらなかった人がどっと増えた世代でもあると思います。私も、たくさん恥をかいて、注意され、怒られて育ってきました。本当に消え入りたいほど恥ずかしい思いを数多くしてきたのですが、そういう経験から学んだことを、ちょっと偉そうですけれども、書かせていただいたのが本書です」

たとえば誰かにご馳走する際、ワインだけは自分で選ばせてもらうことが多い、という記述のなかで、“「ブルゴーニュ 白」と言って、ワインリストの1万5000円あたりの値段を指さしながら「このぐらいで」と伝えると、賢いソムリエがいるお店ならだいたいよいものを持ってきてくれます”と書く。

金額をつまびらかにすることから自らの失敗談まで、包み隠さず“本当に知りたい実際のこと”を知ることができる。林さんがどれほど胸襟を開いて伝えようとしているかが実感できる。

「お祝いはいくら包むとか、ふだん皆さんがあまりお話しにならないことまで、正直に、具体的に書くことを心掛けました。マナーをよくご存じの家庭画報読者のかたがたに読んでいただくのは面映ゆいのですが、年をとってからの成長が、“成熟”です。母がよく“ただ生きているだけの人は死んでいるのと同じ”といっていましたが、老いて守りに入るのではなく、昨日より今日のほうがちょっと面白い、というふうに、いろんなことに挑戦して、変化していきたい。こうしたパワーを感じ取っていただけたら嬉しいですね」

『成熟スイッチ』

装幀/中島英樹〈中島デザイン〉

『成熟スイッチ』
林 真理子 著/講談社現代新書


成熟を(1)人間関係の心得、(2)世間を渡る作法、(3)面白がって生きる、(4)人生を俯瞰する、という4つのテーマに分け、自らの経験をもとに考察。毎日新しいスイッチを入れながら小さくとも何か新しいことをして、昨日と少し違った自分になる。これこそが成熟であると説く。

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構成・文/安藤菜穂子

『家庭画報』2023年4月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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