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更年期以降増え始める女性の「狭心症・心筋梗塞」。気をつけたい心臓の血管にかかわる病気

2023.01.18

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天野惠子先生のすこやか女性外来 第9回(01)心臓は命に直結する臓器だけに、ちょっとした痛みや動悸でも心配になるものです。今回取り上げるのは、心臓の血管の異常で起きる狭心症や心筋梗塞。心臓と血管の基本的な構造から、男性と女性では症状が異なること、そして天野先生のご専門で更年期女性に多い「微小血管狭心症」の話へと続きます。

女性の「狭心症・心筋梗塞」の特徴とは?
更年期から気をつけたい心臓の血管にかかわる病気


天野惠子(あまの・けいこ)先生
天野惠子先生

静風荘病院特別顧問、日本性差医学・医療学会理事、NPO法人性差医療情報ネットワーク理事長。1942年生まれ。1967年東京大学医学部卒業。専門は循環器内科。東京大学講師、東京水産大学(現・東京海洋大学)教授を経て、2002年千葉県立東金病院副院長兼千葉県衛生研究所所長。2009年より静風荘病院にて女性外来を開始。

閉経すると増え始める心臓の血管が狭くなる病気
「更年期女性の10人に1人に起こる“微小血管狭心症”という病気を知っておきましょう」── 天野惠子先生


「狭心症、心筋梗塞」という病名を耳にする機会は多いのではないでしょうか。心臓の表面を走る血管が狭くなったり詰まったりして心臓を動かす筋肉(心筋)が正常に働かなくなる病気で、主な症状は胸のあたりの強い痛みや圧迫感。心筋への血液が不足して起きるという意味で「虚血性心疾患」と総称されます。

女性よりも男性に多く、閉経前の女性にはほとんど見られませんが、更年期以降、少しずつ増え始めます。

その背景にあるのが、女性ホルモン・エストロゲンの働き。狭心症も心筋梗塞も血管の異常で生じる病気ですが、エストロゲンには血管を守るたくさんの作用があるのです。

しかし閉経前でも喫煙者となると話は大きく変わってきます。たばこに含まれる有害物質がエストロゲンの働きを妨げるため、喫煙習慣があれば20代、30代でも決して関係のない病気だとはいえません。

症状にも性差があります。女性の場合、男性と違って必ずしも胸痛だけでなく、広範囲に及ぶことを理解しておきましょう。

検査で異常が出ない、女性に多い特殊な狭心症


もう一つ、ぜひ知っておきたいのが、心筋の中のごく細い血管の痙攣で起きる「微小血管狭心症」。更年期世代の10人に1人に生じるといわれる特殊な狭心症です。

原因ははっきりわかっておらず、症状が多くの部位にわたり、検査でも異常が出ないことから、なかなか診断されにくい病気だといえます。

医療機関でも理解が進んでいないのが現状ですが、その特徴を頭に入れておくことが大事です。

次回は「狭心症」と「心筋梗塞」が起こる原因と、女性ホルモン・エストロゲンの働きについて詳しくご紹介していきます。




*NPO法人性差医療情報ネットワーク「女性外来マップ」では、女性外来を開設している医療機関(2018年現在約300か所)のリストを公開。
URL:http://www.nahw.or.jp/hospital-info

*「女性外来オンライン」(天野惠子先生主宰)では、天野先生ご自身が厳選した女性の健康の回復や維持に役立つ信頼性の高い情報を発信しています。

公式サイト「女性外来オンライン」:https://joseigairai.online/

YouTube「女性外来オンラインチャンネル」はこちら>>

天野惠子先生のすこやか女性外来

1「更年期は女性の体の“変化のはじまり”」
1−1 更年期と“その後”の元気のために、体の変化を知りましょう
1−2 女性の健康の守り神・エストロゲンがゼロになったら、生活習慣で補いましょう
1−3 更年期の不調や病気予防に! 女性医療の先駆者が教える生活習慣の「基本5か条」
1−4 女性外来を訪ねて「伊豆美レディスクリニック」

2「だるさ、頭痛、冷え、動悸も。更年期の不調は全身に」
2-1 10年間、我慢するのはもったいない。自分に合う対処法を見つけましょう
2-2 更年期の症状が全身に出るのはなぜ? 訴えの多い10の不調と対処法
2-3 更年期症状の程度を知り、適切な対処法を。専門医も使う簡易テストでセルフチェック!
2-4 女性外来を訪ねて「春日クリニック」

3「不眠、イライラ、うつ、思考力低下。更年期は心も脳も不安定」
3-1 不眠、イライラ、うつ、思考力低下…。更年期のメンタルの不調を正しく知ろう
3-2 更年期のメンタルヘルスを左右する3つの物質とは。減少すると起こる不調は?
3-3 更年期のメンタルを改善するには? 症状に応じた漢方薬や生活習慣の見直しを
3-4 女性外来を訪ねて「こころとからだの杉本クリニック」

4「女性の元気を支える“骨・筋肉・血流”の三本柱」
4-1 更年期以降の人生を健やかに過ごすには、“骨・筋肉・血流”の三本柱が大切です
4-2 骨量と筋肉量は何歳からでも改善できる! まず年齢による変化を知りましょう
4-3 脳と心臓の健康を保つカギは「血流」。動脈硬化を防ぐために注意したい3つのリスク
4-4 女性外来を訪ねて「和歌山ろうさい病院 女性専門外来」

5「骨粗しょう症を予防し、“転んでも折れない骨”をつくる」
5-1 骨粗しょう症を予防するために、骨量維持は更年期女性の重要な“ミッション”!
5-2 “女性であること”が骨粗しょう症のリスク!? 骨量減少に気づくために5年に1度の骨密度検査を
5-3 骨は自分でつくるもの。骨粗しょう症を防ぐために、実践したい食事と運動とは?
5-4 女性外来を訪ねて「アットホーム表参道クリニック」

6「“高血圧なんて関係ない”は大きな間違い。今から減塩を」
6-1 自分には関係ないと思っていませんか? 更年期以降、誰にも高血圧のリスクが生じます
6-2 加齢とともに女性の血圧は3段階で変化します。自分の“高血圧リスク”を知って対策を
6-3 血圧を下げるための7か条とは? 自然に減塩できる野菜スープのレシピも
6-4 女性外来を訪ねて「山梨県立中央病院 女性専門家」

7「心筋梗塞や狭心症のリスクを高める女性の糖尿病」
7-1 女性の糖尿病は男性以上に高リスク! 更年期以降は血糖値を上げない生活を
7-2 血管に及ぼす影響は大! 女性こそ注意すべき「糖尿病」とはどんな病気?
7-3 自分の“糖尿病リスク”を知って、今から対策を! 実践したい生活習慣もご紹介
7-4 女性外来を訪ねて「ソフィア北円山クリニック」

8「女性の脂質異常症は、過剰に怖がらなくて大丈夫」
8-1 コレステロールも中性脂肪も必要な栄養素!? 性差で考える“女性の脂質異常症”
8-2 更年期以降の女性は脂質異常症になりやすい体に。コレステロールが増えても慌てないで!
8-3 コレステロールは自力でコントロール! 薬の前に生活習慣を改善しましょう
8-4 女性外来を訪ねて「順天堂大学医学部附属浦安病院 女性専用クリニック」

9「更年期から気をつけたい心臓の血管にかかわる病気」
9-1 更年期以降増え始める女性の「狭心症・心筋梗塞」。気をつけたい心臓の血管にかかわる病気
9-2 冠動脈が狭くなり、心筋に血液が行かなくなる(1/25公開予定)
9-3 女性の症状は広範囲に及び診断されにくい(2/1公開予定)
9-4 女性外来を訪ねて「高知いちょう医院」(2/8公開予定)
撮影/鍋島徳恭 取材・文/浅原須美

『家庭画報』2023年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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