学ぶ
2023/01/05
写真/イメージマート
選・文=山口仲美(日本語学者)
春の到来です。「春告げ鳥」の異名で親しまれているウグイスが囀り始めます。
最初は、たどたどしく「ホホウホホウ」とまるで私たちの言うことに感心して相槌を打っているような声で鳴きます。しばらくすると、「ホーホケキョー」とおなじみの透き通るいい声で鳴き出します。
ところで、ウグイスの声を「ホーホケキョー」と聞くのは、いつからでしょう? ずっと昔から、日本人はそう聞いてきたんじゃあないのと私たちは何となく思っています。
違うんです、江戸時代からにすぎません。古くはウグイスの鳴き声を「ウーグヒ」と聞いていた。だから「ウグヒス」という鳥の名がついたのです。
江戸時代は、仏教が盛ん。「法華経」と掛けて聞きなせるウグイスの声は大人気。「うぐひすの声にや誰もほれけ経」という句もあるほど。
写真/ Yoshitaka〈PIXTA〉
『家庭画報』2023年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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