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甘いものには要注意! 漢方の目線から、花粉症を抑えるために注意すべきこと

2022.03.10

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漢方の知恵と養生ですこやかに 第3回(02) 鼻のむずむずで春の訪れを感じとる人も多いのではないでしょうか。アレルギー体質の人にはつらい季節でもありますが、根本先生は、「春の花粉症は食べ物に気をつけるだけでだいぶ楽になる」といいます。特に春先に心がけたい養生法を、食を中心に教えていただきます。前回の記事はこちら>>
〔解説してくださるかた〕
横浜薬科大学特任教授・薬学博士 漢方平和堂薬局店主 根本幸夫先生

●前回の記事
開花とともにやってくる。花粉症とアレルギー症状>>

甘味を控える“引き算の養生”を。睡眠不足と温度差にも注意



桜

甘いものの摂りすぎは、まず“耳”の症状に表れる


アレルギー対策には、何を食べるかより、何を控えるかの“引き算の養生”が大切です。避けたいものの代表は甘い味。甘味は粘膜全体を刺激しますが、実は最も敏感で最初に反応するのが耳の粘膜。耳の穴がむずがゆくなったら甘いものの食べすぎととらえ、症状が広がる前に控えるようにしましょう。

味の医学に基づけば、自然由来の黒砂糖や甜菜(てんさい)糖、羅漢果(らかんか)糖なら安心と思うのは間違いですし、洋菓子も和菓子も、人工甘味料も症状を悪化させる点では同じです。いくら漢方薬もしくは抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬を服用して症状を抑えても、食べ物に無頓着である限り、薬の効果は半減します。

花粉症の漢方薬処方は、くしゃみや水っぽい鼻水が出るときは小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、鼻づまりや粘り気のある鼻汁のときは葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)を主に用います。

夜中の0時から2時は睡眠を。衣類の調節で温度差に対応


睡眠不足はアレルギー症状を悪化させます。中国医学では、この世のすべてを陰と陽に分けてとらえる「陰陽論」をベースに、陰と陽のバランスが健康を保つと考えます。それによると夜中の0時から2時の間は陰の気が強まり、人の活動性が低下するとき。これに反して起きて動いていると陽の気が勝って上昇し、のぼせが強くなって血が滞り、鼻づまりなどの症状がひどくなります。その時間帯は、せめて体を横にして休むようにしましょう。

また、粘膜が充血していると温度差に敏感になります。朝、暖かい布団から出たら上着を一枚羽織るなどの心がけが必要です。鼻づまりのときは鼻の両側を人差し指か中指で30秒ほど軽く上下にこすると、鼻粘膜の血流がよくなり、鼻が通りはじめます。天然水に0.9パーセントの食塩を加えた生理食塩水は、鼻うがいにも使えますし、適量をスポイトで目頭に注いで花粉を洗い流すこともできます。

【3月の食養生】


◆甘い菓子は3日に1個

控えたほうがよい食べ物の筆頭はチョコレートやケーキ、和菓子など砂糖を多用した甘いもの、チーズやバターなど乳製品、香辛料、カカオ、ナッツ類(脂肪分が多いため。茹でたり蒸したりした落花生ならよい)などです。

大雑把にいうとショートケーキや大福を1個食べると、甘味の影響が3日は残るとされています。甘い菓子類は3日に1個にとどめておきましょう。

アレルギー体質の人が春先に特に気をつけたいのは、筍や山菜など旬の食材です。栄養価が高い一方でアクが強く、なかでも芽を出したばかりの成長期の筍は咳などのアレルギー反応を起こしやすいので要注意です。

◆目には菊花茶(きくかちゃ)、喉には金銀花茶(きんぎんかちゃ)

漢方薬局で売っている菊花茶は目の症状に、金銀花茶は喉の痛みに効きます。菊の花のつぼみと金銀花(スイカズラ)のつぼみを乾燥させたものですが、食料品店などで扱っているお茶には砂糖が入っていることがあるので、成分を確かめるようにしましょう。


【漢方薬局だより】


手軽さが魅力の「エキス剤」。高い薬効が期待できる「煎じ薬」

漢方薬にはエキス剤と煎じ薬の2種類があります。エキス剤は生薬を煎じた液体からエキスを取り出して加工したもので錠剤と散剤(粉薬)の形状があり、すぐに服用できて持ち運びもできる手軽さが利点です。風邪や鼻炎には、体を温める作用のある生姜湯や葛湯で飲むと効果が最大限に発揮されます。

煎じ薬は生薬を混合したものを家で煎じ、こした液を服用します。漢方薬局の薬剤師が体質や症状に合わせて処方し、エキス剤より一層効果が強まります。できるだけ熱いまま服用しましょう。花粉症や鼻炎の場合は小青竜湯の適応となり、服用後は厚着をして汗をかきやすくするのがコツです。

煎じたあとの生薬にも有効な使い道があります。「二番煎じ」はお茶代わりに、出がらしの生薬は家庭菜園や鉢植えの植物の肥料として再利用することができます。

〔解説してくださったかた〕横浜薬科大学特任教授・薬学博士 漢方平和堂薬局店主 根本幸夫先生

根本幸夫先生

1947年生まれ。69年東京理科大学薬学部と東洋鍼灸専門学校を同時に卒業後、さらに鍼灸と中国医学を学ぶ。「普段の生活こそが治療の場」をモットーに、漢方平和堂薬局(東京都大田区)では多くの人々の健康相談にのり、養生法をベースに漢方薬処方を行っている。横浜薬科大学漢方和漢薬調査研究センター長ほか役職多数、著書多数。
撮影/本誌・武蔵俊介 イラスト/浜野 史 取材・文/浅原須美

『家庭画報』2022年3月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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