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「もしかして認知症?」と感じたら家族はどう向き合い、寄り添えばいい?

2022.01.25

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長谷川和夫さんが2021年11月13日にご逝去されました。心よりご冥福をお祈りいたします。認知症の専門医であった和夫さんは生涯をかけて認知症の人が自分らしく生きられる社会の実現を目指し、自ら認知症となった後も、その当事者体験を通して認知症の人に寄り添う術を教えてくださいました。本連載では、ご子息の洋さんに託された和夫さんの認知症の人への熱い思いや診療の理念を引き続きお届けしてまいります。前回の記事はこちら>>

長谷川父子が語る認知症との向き合い方・寄り添い方 第2回


親がだんだん年をとってきて、同じことを何度も聞き返すといった場面に出くわすと、子世代は認知症が始まったのではないかしらと心配になることがあります。今回は家族の認知症を疑ったときの向き合い方・寄り添い方のヒントをいただきます。

長谷川 洋さん

長谷川 洋(はせがわ・ひろし)さん

長谷川診療所院長。1970年東京都生まれ。聖マリアンナ医科大学東横病院精神科主任医長を経て、2006年に長谷川診療所を開院。地域に生きる精神科医として小児から高齢者まで、さまざまな精神疾患の治療とケアに従事。聖マリアンナ医科大学非常勤講師、川崎市精神科医会理事、神奈川県精神神経科診療所協会副会長などを務める。長谷川和夫さんの長男。



写真提供/長谷川 洋さん

長谷川 和夫(はせがわ・かずお)さん
認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長。1929年愛知県生まれ。74年、認知症診断の指標となる「長谷川式簡易知能評価スケール」を開発。「パーソン・センタード・ケア」の普及に力を注ぎ、認知症ケアの第一人者としても知られる。「痴呆」から「認知症」への名称変更の際も尽力。2017年に自らの認知症を公表し、社会的反響を呼ぶ。21年11月13日逝去。享年92歳。

家族の認知症を疑ったとき


認知症による物忘れは体験したこと自体を忘れる


同じことを何度も聞き返す、物を置き忘れて探すことが多い、話のつじつまが合わない、約束の日時や場所を間違える――。こんな家族の言動に「認知症が始まったのではないかしら」と心配になることがあります。

年をとると誰でも老化現象により物忘れ(記憶力の低下)が多くなり、理解力や判断力も鈍ってきます。一方、アルツハイマー型認知症などの初期にも、物忘れの症状がみられますが、老化による物忘れと決定的に違うのは、体験したこと自体を忘れてしまうということです。

現在の体験は常に過去からの延長線上にあり、未来へと続いていく「線の体験」ですが、認知症の人の場合、過去の体験の一部をすっかり忘れているので、現在の体験は不連続な「点の体験」となります。こうした状態に置かれることは不安な気分を招きやすく、日常生活にも支障をきたします。

過去の記憶がないと現在にも未来にも自信が持てなくなります。自分の中の「確かさ」が揺らいでくるのです。だから、何度も同じことをいったり聞いたりしてしまうのです。──和夫さん


認知症になった父は、このような状態について「自分の中の“確かさ”が揺らぐ」と表現しました。私はこの言葉にハッとさせられ、同時に認知症の人が何度も同じことをいったり質問したりすることに得心がいったのです。

こうした行動の根底にあるのは自分自身への不安感なのだと。そのことが理解できると、私たち子世代の対応もずいぶん違ったものになるのではないでしょうか。

もしかしたら認知症を発症していなくても、高齢になり記憶力や理解力、判断力が鈍ってくると、人はいいようのない不安に駆られるのかもしれません。こうした不安の解消につながるのなら、多少面倒でも同じことを何度も話してあげるのは必要な対応といえるでしょう。
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