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【ワルツ対談】指揮者 高関健さん×音楽評論家 舩木篤也さん。3拍子の魅力に迫る!

20世紀のワルツには皮肉やパロディ的表現がたくさん!

舩木 20世紀になると他の作曲家を引用する手法がより盛んになりますが、この時代のワルツはいかがでしょうか。新ウィーン楽派(「無調」や「12音技法」など前衛表現を試みた一派)などは?

高関 アルバン・ベルクはノスタルジーを表現していますね。「抒情組曲」第2楽章やヴァイオリン協奏曲もレントラー。オペラ『ヴォツェック』では実際にワルツを踊るシーンがあります。

舩木 踊るといえば、ロシアのストラヴィンスキーのバレエ『ペトルーシュカ』にもワルツが出てきます。

高関 冒頭に出てくるのはランナー「シェーンブルンの人々」の引用です。『カルタ遊び』も第3楽章がワルツ。

舩木 このワルツもパロディとして書かれていますか?

高関 『カルタ遊び』にはラヴェルの「ラ・ヴァルス」が茶化されたように出てきます。その「ラ・ヴァルス」もウィンナー・ワルツのパロディ。つまり二重のパロディになっていますね。

舩木 確かにそうですね。ではショスタコーヴィチはいかがでしょうか。

高関 ショスタコーヴィチの交響曲の中に突然出てくる3拍子は、いわば反抗や恐怖の象徴。第7番「レニングラード」の第3楽章はいかにも「働け、働け!」と体制側から書かされている印象ですね。ちなみに武満 徹「ワルツ」(映画『他人の顔』)は、彼の「ワルツ第2番」を想起させます。

舩木 なるほど。ジャズやポップス、歌謡曲にもワルツはたくさんありますね。さて、様々なワルツが登場しましたが、あらためて3拍子の取り組みは、指揮者にとっていかがでしょうか?

高関 楽しいですね。たとえばマーラーはなぜ性格の違うワルツを書いたのか、なぜフィンランド人のシベリウスはここにワルツを入れたのか。ワルツは民族色や特色が出ますから、その由来や理由を探すのが興味深いです。

本誌・伏見早織 ウィーン取材コーディネート・取材・文/菅野恵理子 編集協力/三宅 暁(編輯舎)

『家庭画報』2022年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

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