インタビュー・レポート

舘 ひろしさん、綾野 剛さんへインタビュー。血のつながりを超えた本当の家族愛

映画『ヤクザと家族 The Family』

舘さんと綾野さん

〔舘さん着用衣装〕スーツ40万円 シャツ、チーフ(参考商品)/すべてジョルジオ アルマーニ(ジョルジオ アルマーニ ジャパン)

現場で生まれたリアリティある表現

タイトルどおり、“ヤクザ”という題材で“家族”を描いた映画で初共演した綾野 剛さんと舘 ひろしさん。印象に残っているシーンを挙げながら、舘さんは綾野さんの素晴らしさを語ってくれた。

「強烈な“山本”の眼差しには、瞬時に魅了されました」── 舘 ひろし

「第1章で綾野君が演じる山本賢治が拉致されて僕が演じる組長の柴咲のところに帰ってきたとき、彼は生きる意味を見つけたんだと思うんです。山本の目はそれを訴えていました。目で訴えられる俳優さんが強いと僕は信じているんです。僕は山本を“ケン坊”って呼んでからは、綾野君のお芝居に引っ張られて、それに合わせていくという日々でしたね」

舘さんが演じる柴咲は組長である前に“親父”の印象が強い。その親父が注ぐケン坊への眼差しも愛に満ちていた。

「第3章で出所した自分に迎えが来て組に戻ったら親父がいました。“ご苦労さん”という親父の第一声を聞いたとき、“14年という時間を自分はなぜ奪ってしまったんだろう。この時間を一緒に過ごしていたら違う景色が見えたのに”と、失った時間への後悔と目の前に立ち続けている自分の親父を見て胴震いしたんです。

“ダメだ、言葉が発声できない。自分は今どんな表情をしているのか”と、自分に問いかけるほど驚きました。舘さんの呼吸と発声がそれまでとは全然違っていたので、事の重大さに初めて気づいたんです。そこで自分は、第3章ではたばこを吸わないと決めました。親父と一秒でも長く一緒にいるために、たばこをやめようと思い、監督にもそう伝えました」

まるで、実際に自分の身に起きたことのように綾野さんは語る。舘さんはその姿を嬉しそうに見ながら言葉を続けた。

「綾野君は山本という役を演じたのではなくて、その役を生きていらしたと思うんです。だから実体験のように話す。そういうケミストリーが生まれる現場でもありました。僕も山本にお金を渡すときに額が少なくて“ごめんな”という場面があるのですが、ヤクザは使わない言葉かもしれないけれど、家族を描くならと思って、勝手に入れさせてもらいました。

もしかすると、渡(哲也)さんだったら多分こういうだろうと思って演じた気がします。そういうその場で起こる“ハプニング”を藤井監督はしっかりとらえていましたね」

そうした役の気持ちのままの動きや表情が、この映画にリアリティをもたらしている。そして綾野さんの演技には、その直感的な判断が随所に生かされている。

「ゴルフ場で自分が親父の肩にコートをかけるんですが、本にはそこまで書かれていません。親父は自分が血のつながった人にできなかったことを叶えてくれた人。単にコートをかけるだけですが、そこには思いやりの本質がありました」

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