インタビュー・レポート

漫画原作の三谷かぶきには歌舞伎座初が満載!三谷幸喜さん、松本幸四郎さんインタビュー

「原作に描かれた、人間が持つ 滑稽さに惹かれます」
-三谷幸喜

「勧善懲悪じゃないところにも新作の意義を感じます」
-松本幸四郎

三谷かぶき

三谷幸喜(みたに こうき)1961年、東京都出身。大学在学中に劇団を結成。以降、さまざまな舞台の作・演出を手がける一方、脚本家、映画監督としても活躍する。監督映画『記憶にございません!』が2019年9月13日より公開予定。
松本幸四郎(まつもと こうしろう)1973年、東京都出身。79年に歌舞伎座『侠客春雨傘』で初舞台。2018年に歌舞伎座『壽 初春大歌舞伎』で十代目松本幸四郎を襲名。歌舞伎以外の舞台や舞踊、映像作品でも活躍している。

6月の歌舞伎座に、三谷幸喜さん作・演出による新作歌舞伎が初お目見えする。みなもと太郎さんの歴史漫画『風雲児たち』を原作とする、『月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと)風雲児たち』。嵐で船が遭難してロシア領に漂着、日本への帰国を叶えるためにロシアの帝都まで行くことになった船乗りたちの物語だ。

苦難の旅を10年近く続ける主人公の船頭・大黒屋光太夫を演じるのは、三谷さんが初めて手がけた歌舞伎『決闘!高田馬場』(2006年・パルコ劇場)でも主役を務め、絶賛された松本幸四郎さん。その一三年ぶりのタッグが、今度は歌舞伎の殿堂で観られるのだから、期待せずにはいられない。

「でも、特に気負いはないですね」と三谷さん。さすがにそろそろ題材を決めようと、昨秋、幸四郎さんと2人で会食し、光太夫の話をしたという。

三谷:僕は小学生の頃からみなもとさんのファンで、関ヶ原の戦いから幕末までをいろいろな人物とエピソードで描いた『風雲児たち』も大好きなんです。なかでも好きなのは、大黒屋光太夫の話。光太夫を題材にしたものには、井上 靖さんの『おろしや国酔夢譚』や吉村 昭さんの『大黒屋光太夫』といった小説もありますが、僕が惹かれるのは、みなもとさんの歴史観や、そこに描かれた人間が持っている滑稽さ。その滑稽さや笑いが悲しみと裏腹なところは、歌舞伎に通じるような気がしていて。

幸四郎:僕は、そのとき初めて光太夫のことを知ったんですが、三谷さんから出てくるものがすべてだと思っていたので、即、それでいきましょう!と。すぐに原作を取り寄せて思ったのは、このギャグ満載の漫画がまさか歌舞伎につながるとは、誰も考えないだろうなということ(笑)。そういう意味でも、これはイケる!と感じましたし、歌舞伎に多い勧善懲悪や男女の話ではないものをやるところにも、新作をやる意義があるんじゃないかと感じました。

三谷:幸四郎さんは忙しいのに、いつの間にか大黒屋光太夫記念館にも行っていたんですよね。しかも、それを紹介する記事と写真を見たら、ずっと光太夫が好きだったかのような雰囲気で(笑)。稽古が始まるだいぶ前に撮った扮装写真もすでに光太夫にしか見えないし、さすがですよね。

幸四郎:ハハハ(笑)。でも実際、台本を読んでいると、気持ちが入り込んで、毎回泣けてきてしまうんです。光太夫は歴史に名を残してはいますが、普通の人。ただ、誰とでも仲よくなれる性格だったらしくて、現地の人の中にどんどん入って交流しながら言葉を学んでいった。それが、結果的に帰国への道を拓いたのかなと思います。

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