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三谷幸喜が弥生に放つ新作舞台は、江戸開城をめぐる群像喜劇

2018.02.27

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【今、この人に会いたい!】三谷幸喜

三谷幸喜(みたに こうき)さん

「心の底から“ああ、面白かった!”と思えるものをつくりたい」


「僕の中では久々ですね、笑わせるためだけにすべての台詞があるような芝居をつくるのは。あいつ、まだこんなことやってるんだ!といわれてみたい。今回はそういう舞台にするつもりです」

そう話す三谷幸喜さんの最新作『江戸は燃えているか』が、3月の新橋演舞場にお目見えする。謳い文句は“新橋演舞場史上、最も笑えるコメディ”。勝 海舟と西郷隆盛による“江戸城明け渡し”の会談を題材にした、幕末群像喜劇だ。

「やるからには、今まで新橋演舞場でやったことのないことをやってみようかなと。舞台セットや花道の使い方も、とにかく新しいものをと思っています。まあ、実際に話を聞くと、大抵のことはすでにやっているみたいですが(苦笑)。勝 海舟と西郷さんの人物像に関しては、この作品にしか出てこない勝 海舟と西郷さんで、絶対にこんなやつじゃなかっただろうというキャラクターになっています」


時は慶応4年。江戸城総攻撃を控えた西郷吉之助(隆盛)は、無益な戦いを避けるべく、幕府代表の勝 海舟と会って降伏をすすめることにする。しかし勝は、気が小さいうえに喧嘩っ早く、西郷に会えば交渉が決裂することは明白。勝家の使用人たちは、江戸を戦火から守ろうと、勝を偽物の西郷に会わせている間に、勝のふりをさせた庭師の平次を本物の西郷に会わせ、和平交渉をしてしまおうという大胆な作戦に出る……という話になるらしい。

三谷幸喜さん

三谷さんによると、着想のもとは、大学時代に観たE・ルビッチ監督のコメディ映画『生きるべきか死ぬべきか』と、そのリメイク映画『メル・ブルックスの大脱走』。

「ナチスドイツ占領下のポーランドが舞台の、みんなで大芝居を打ってヒトラーをだますという話で、とても面白くて。こういう歴史上の人物を庶民たちがだますような話を日本でやるとしたら、どの人物がいいだろう?と考えたときに浮かんだのが、勝 海舟と西郷さんの会見でした」

その後、伊東四朗さんに、勝と西郷の会談を題材にした替え玉話を、伊東さんが当時 出演していたNHKの『コメディーお江戸でござる』で書いてみたいと話したことがあったそうだが、実現には至らず。それから二十余年。三谷さんの中にずっと残っていたというそのアイディアが、勝役の中村獅童さん、平次役の松岡昌宏さんをはじめとする多彩なキャストを得て、ついに具現化されるのだ。

「獅童さんは、僕のイメージでは、どちらかというと翻弄されるより、引っ搔き回す役のほうを面白くつくる人。一般的なイメージとしても、周りに迷惑をかける悪ガキのようなキャラを自在に演じる俳優さんというイメージが強いと思います。そうじゃない獅童さん、受け身の獅童さんが見たいというところから、勝の人物像を考え始めました。今回は、周りにいるキャラの強い人たちが投げる石で右往左往する獅童さんが、見られると思います」

平次役の松岡さんは、三谷さんの上演台本・演出による舞台『ロスト・イン・ヨンカーズ』(2013年、ニール・サイモン作)にも出演している。しかし、三谷さんの印象に最も強く残っているのは、実は三谷さんが『NHK紅白歌合戦』でゲスト審査員を務めた際(2011年)に見た松岡さんだそう。

「実際は、とてもシャイな人なんですが、あのときは、半裸状態で太鼓を叩いているようなイメージで、紅白というお祭りを誰よりも楽しんでいた。そのとき感じた江戸の庶民の空気が今回に繫がっています。活きのいい江戸っ子を見せてほしいですね」

NHKの大河ドラマでは、獅童さんも出演していた2004年の『新選組!』、そして2016年の『真田丸』の脚本を担当。舞台でも、ミヤコ蝶々や川上音二郎、石川啄木や夏目漱石、ゴッホ、ヨゼフ・ゲッベルス、ナポレオンなど、実在した人物を題材にした作品を多く執筆している三谷さん。

「でも僕の興味があるのは、実際に歴史を動かした人よりも、そのそばにいた人や、歴史を動かさなかった人。歴史を動かした人の周りにいた人や負けてしまった人の悲哀みたいなものに惹かれます。悲哀と笑いは背中合わせ、表裏一体だと思っているので」
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