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歌舞伎界の若き獅子 中村隼人さん「いつも不安と隣り合わせで満足ができない性格なんです」

2022.01.06

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歌舞伎界の若き獅子たち 最終回(全5回) 『風姿花伝』で世阿弥が「時分の花」という言葉で表わしたように若手歌舞伎俳優の彼らには、今、この瞬間だからこそ放つ美しさと輝きがある。彼らはそれぞれの個性が光る装いとともに、そのパッションと表現力、そして抱き続けている歌舞伎に対する深い愛を語ってくれた。前回の記事はこちら>>

第5回 中村隼人さん


中村隼人さんシャツ11万6600円 オールインワン9万4600円(ともに参考価格)/ともにバーバリー(バーバリー·ジャパン)中村隼人(なかむら・はやと)
1993年11月30日生まれ。父は2代目中村錦之助。2002年2月歌舞伎座『寺子屋』の松王丸一子小太郎役で初代中村隼人を名乗り、初舞台。2015年1月浅草公会堂『仮名手本忠臣蔵』五・六段目の千崎弥五郎ほかで名題昇進。2018年新作歌舞伎『NARUTO ーナルトー』、2019年スーパー歌舞伎Ⅱ『新版オグリ』でダブルキャストを勤める。

新作歌舞伎の主演で広がった可能性


美しい容姿、与えられたチャンス、そして主役という経験。スターへの条件が揃っている彼を最も変えたのは“自信”なのではないか?


「僕は自分の長所だと思っているのですが、いつも不安と隣り合わせで満足ができない性格なんです。最近も同世代の仲間から“お前はどうしてそんなに自信がないんだよ!”って集中砲火を浴びました(笑)。でも自信がないから稽古をするので、このくらいでいいと思わなくてよかったと思っています」

そんな彼にも内面的な変化が訪れている。

「巳之助さんと右近くんと『三人吉三』を歌舞伎座で演らせていただいたとき、同世代だけでなく、親世代からも“すごいな、お前たち”といっていただきました。ところが僕らは意外と冷静に受け止めていたんです。自分がそういうメンタルになれたのは、スーパー歌舞伎で主役をさせていただいたからでしょう。古典作品では新作にはない熱量を味わうことができました」

中村隼人さんレザーブルゾン93万1700円(参考価格) タートルニット Vネックオールインワン(ともに参考商品) グローブ16万930円(参考価格)/すべてプラダ(プラダ クライアントサービス)

近年は新作歌舞伎やドラマでの活躍ぶりが目立っているが、彼が目指すのは古典の大役。その目標も少しずつ実現し始めている。

「お坊吉三を教わった仁左衛門のおじさまからは“心地よさだけを追い求めると意味が伝わらない”とお話しいただき、台詞を音楽的にだけでなく、気持ちも届けることを改めて意識して取り組んだ試行錯誤の日々でした。歌舞伎が残るためには新作だけでなく、古典もできなければならない。この新旧の垣根を越えていきたいです」

常に進化するその姿からは、目が離せない。
表示価格はすべて税込みです。
撮影/秦 淳司〈Cyaan〉 スタイリング/馬場郁雄 ヘア&メイク/川又由紀〈HAPP’S〉 構成・文/山下シオン

『家庭画報』2022年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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