インタビュー・レポート

菅野美穂さんインタビュー。映画『明日の食卓』で運命的なものを感じたという母親役

映画『明日の食卓』

菅野美穂さん

経験しなければわからない子育ての現実と実態

愛情、怒り、無関心、孤独など、子を持つ親であれば誰もが直面する出来事や感情を抱えた家族が描かれた映画『明日の食卓』で、菅野美穂さんは10年ぶりの映画主演を果たした。

彼女自身もまだ幼い2児の母親であり、女優としてもその人生を着実に歩んでいる。

今回演じたのは2人の男の子を育てつつ、フリーライターとして働く“石橋留美子”。長いブランクを経て仕事に復帰し、意欲的に取り組もうとする彼女に同じ女性として共感するところはあったのだろうか。

「3人のお母さんの中ではいちばん自分に近い女性だと思いました。演じ手としてやり甲斐があるのは尾野真千子さんが演じた石橋さんで、理想の母親は高畑充希さんが演じた石橋さんです。私が演じた石橋さんは男の子を2人育てることの大変さに想像しきれない部分がありました。10歳だと人格もしっかりと形成されているので、思春期が始まる子どもとぶつかることに先々の自分を見ているようで、大変そうで嫌でしたね。

私自身、子育てしながら自分のキャリアを再スタートすることには、仕事で自分が開けていくという期待もありますが、始まってみると覚悟していた以上に大変でした。自分で選んだ自由なんですが、現実は自由という言葉と真逆な感じがして、頑張れば頑張るほど理想から遠ざかっていくようなことが次々と起こるんです。自分にとっては切実なことなんです。留美子が本人なりにもがいている心情と自分の日常が重なりました」

明日の食卓

© 2021『明日の食卓』製作委員会

育児中の私自身にとって運命的なものを感じるような役でした── 菅野さん

子育ての実体験と演じた役との間に境界線はなく、母親というものへの理解は深まっていく。

コロナ禍で、ご自身のお子さんと過ごした時間で得た気づきについても語ってくれた。

「子どもと1か月間、ちゃんと向き合うということがどれくらいのことなのかを目の前に突きつけられました。子育てでは怒りたくないですし、大事に優しくしたいということが大前提なのですが、毎日怒っている自分に気づいたときに、いつから私はこんな人間になってしまったんだろうと思っていました。

自分を保つためには本当にエネルギーが必要なんだなと思い知らされました。聖母マリアのように自分を崩さずに育児をするのは幻想でしたね(笑)。喜怒哀楽だけではなく、自分が嫌だと思う感情まで辿り着かないと、責任を負えないのかと。心の準備はしていましたが、それだけでは手に負えないことがありました」

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