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動物たちと楽しく暮らすには。今いる子に“+α”で訪れる素晴らしい世界

2020.07.21

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動物たちと楽しく暮らす「犬+α」の豊かな生活 第1回(全10回) 動物たちの守護神・野村獣医科Vセンターの院長、野村潤一郎さんのもとに飼い主からこんな話が。犬の飼い主から「うちの子が私から離れず出かけることもできません」。猫の飼い主から「この子は私のことを本当に愛しているのでしょうか?」。つまり、犬の飼い主は犬らしさに疲れ気味で、猫の飼い主はペットに犬らしさを求めている、と野村先生。では、どうすれば? 犬+α、猫+αの動物ライフは「飼い主と動物たちの精神のバランスが取れた豊かな世界」と野村先生はいいます。動物一家の楽しい暮らしを紹介します。

動物たちは一緒に暮らすことができるから
今いる子+αで訪れる素晴らしい世界


文/野村潤一郎
犬だけでもいいし、もちろん猫だけもいい。でも、ペットたちももしかしたら待っているかもしれないのです。野村先生が提言する「今いる子+α」で訪れる世界とは?

野村潤一郎(のむら・じゅんいちろう)

野村獣医科Vセンター院長。犬猫にとどまらずあらゆる動物を診療。最先端かつクリーンな病院設備と高度な治療技術で知られ、悪性腫瘍などの難病患者が多い。再生医療でも成果をあげている。自身もドーベルマンの“ビクター”をはじめ、哺乳類、爬虫類、大型熱帯魚など100匹以上を飼育する大動物一家。著書多数。弊社からもエッセイ集『ソロモンと奇妙な患クランケ者たち』『ダーツよ、鉄くろがねの城を見張れ』を刊行。

ペットと暮らす

A・温度の異なる部屋を犬、猫、フェレットが行き来できる。 B・フェレットは基本的に犬と同じだが、光が差さない空間で暮らすとホルモン異常を来す。昼夜がわかればOK。暑さに弱く30度で死に至る。



犬・猫・フェレット・鳥・イグアナ・熱帯魚が一緒に暮らせるリビング


動物の種類に合わせ、広さ、高さ、景色、光、室温、視線に配慮するのがコツ。嗅覚の動物で動きまわる犬には広さが必要だが、猫やイグアナは広さより高さがいる。犬やフェレットは暑がり、猫は寒がりなので、室温の異なる空間を設け、行き来できるといい。視覚の動物である猫・鳥は景色が欠かせない。水槽1つで世界が完結する熱帯魚は+αしやすいペット。大型熱帯魚1匹以外は何も入れない水槽が管理しやすい。天敵に近い関係にある動物は視線を外すように配慮する。




“自分のイヌ”を“自分で世話をして飼う”ようになって50年以上が過ぎました。

物心ついた時からずっとイヌと暮らし続けて今に至るわけですが、しかしそれとは別に赤ん坊の頃から「おかしいんじゃないの?」と言われるくらいの動物好きですから、そりゃあもう見る生き物、触る生き物、何でもかんでも驚いて、憧れて、尊敬して、何とか手に入れてきました。

一番好きなのはイヌですが、それ以外の生き物たちだって普通の人の1万倍くらいは愛しています。だから知識も任せてください。私とまともに動物のことを話せるのはムツゴロウさんとパンク町田君くらいです。

犬

〔犬が動きまわれる広いスペース〕犬は平面的な活動をするので広さがいる。窓はなくても意外と平気。

さて、犬をイヌと書くのをお許しください。私の中では中学1年の時に読んだローレンツ博士の『人イヌにあう』(小原秀雄訳)がいまだに人生のバイブルなので、だから客商売の開業獣医ですがイヌを「ワンちゃん」なんて呼びません。なんだかむしろ愛がないなと感じてしまうんです。だから飼い主と話す時もあえて「イヌ」と言います。

猫

〔※1 猫が景色を見る窓〕視覚の動物である猫は景色を見る。景色がないと猫は不安定になる。 〔※2 猫が落ち着ける高い場所〕適当な場所がない場合はキャットウォークやキャットツリーを設置。

さてそんなわけで“今いる子+α”のお話。単刀直入に言うと「飼いましょう」の一言です。だって楽しいですよ。たとえばイヌがいて猫がいて、この2つは全くの別物なんです。イヌは「父さん父さん」と鼻水タラして走ってくる甘えん坊な子どもであると同時に、「あなたに一生ついていきます」的な忠実な舎弟みたいなところがあり、頭の中は99パーセントが飼い主のことでいっぱいなんですね。「おいで」と呼べば地獄にだってついてくる。

愛する者のために火の中に飛び込む存在、それは何だと思いますか。子を思う母親と飼い主を思うイヌです。イヌと暮らす日々、だからそれはもう飼い主冥利に尽きますが、だけどごめんなさい、少しだけ鬱陶しい時もあるわけです。それなら両方用意すればいいじゃないですか。はい、猫の出番です。

猫のための空間

〔猫のための暖かい空間〕寒がりの猫のために空間を仕切り暖かくするやり方もある。

猫ってやつは赤ん坊の時はひっつきまくってくるくせに、大人になったら冷たいこと。それはライオンでも人間でも一緒なのでしょうが、つまり成長すると「個」になるんです。もちろん気分が乗れば甘えてくれますが、そうでない時はまあツレナイ。かといって飼い主が嫌いなのではなく、確固たる自分を持っているということなのでしょう。

全ての家畜にいえることですが、頭がいいですから善悪の区別もつきます。ただ、誰かのために何かを我慢するなんて気持ちはほとんどない。ルームメイトみたいな感覚でつきあうといいんじゃないでしょうか。しかもイヌが逆立ちしてもかなわない気品と美しさがありますし、イヌと猫がいたらかなり完璧ですよね。もちろんイヌや猫以外の動物もステキてんこ盛りです。

フェレットはどうでしょう。一緒に外出ができますし、天性の明るさはイヌ以上かもしれません。隠れたがる習性は猫的ですね。人間との歴史が前二者に比べて浅いので、わけのわからない突拍子もない行動には要注意です。もちろん飼い主のことをとてもよく慕います。結局これは赤ちゃんの脳のまま大人になるイタチなんですね。イヌや猫もそうですが。

ああ、みんなかわいいなあ。以上三者は家畜動物ですから、慣れれば同室で仲良く暮らせます。

鳥

〔※3 鳥の止まり木と窓〕オウムやサイチョウなど大型の鳥は基本的に繫がなくとも一日中じっとしている。動いてもせいぜい床を歩く程度。飛ぶことは疲れるし危険なので避けたいという鳥の心理。 〔※4 太陽光がわりの紫外線・赤外線ランプ〕鳥やイグアナは太陽光線が必要。ガラス越しの日光浴だと紫外線が遮られてしまう。

あと、オウムやサイチョウみたいな植物食の鳥もいいですね。利口な彼らはエサが欲しくてなつくわけではなく、飼い主を友達、仲間と認識してくれます。私の愛鳥は大型のサイチョウですが、自分のエサをくれますしね。「君にコレをあげよう」なんて。私が与えたエサなのにね。ただし大きな鳥は歌ったり踊ったり何かと騒々しいです。防音は完璧に。

さて、もうこうなったら野性味あふれるトロピカル娘もお迎えしましょう。爬虫類でおすすめなのはイグアナとミズオオトカゲです。

イグアナ

〔イグアナのための止まり木〕古木オブジェや観葉植物などイグアナが落ち着ける高さのある場所。鳥は爬虫類の視線を恐れるので鳥との距離や鳥の視界に配慮する。紫外線・赤外線ランプも設置。

大型のトカゲはかなり人に慣れます。飼い主の顔も覚えるし、自分が暮らす環境も理解します。ちなみに排便はたいていは水の中でします。ただしオオトカゲは肉食ですから、ふだん野放しにすると他の小動物を食べてしまうかもしれません。皆さんが部屋で放し飼いにするならやはり草食のイグアナです。毎朝、一緒にグリーンサラダを食べたりなんかしてオシャレですね。

熱帯魚

〔水槽は日光から離れた場所に〕水槽は自然光の入る場所のほうが美しく見えるが、藻が生えやすくなる。その掃除に追われ挫折する人もいる。猫のいたずらには注意。

最後は熱帯魚です。水槽の置き場所さえあればそこから出てきたりしませんから楽です。中型のシクリッドの仲間なんかを1匹だけ飼うのが楽しいですね。賢いですよ、シクリッドは。皆さんは魚って頭が悪いと思っていませんか。シクリッドは違うんです。飼い主の顔を覚えて手からエサを食べるようになります。魚をインテリアという認識はしないでください。魚も家族の一員になれるんです。

さあ、どうでしょうか、今いる子+αの動物ライフ。それはソーダ水の上に、チェリーとドルフィンカットのオレンジを添えることに似ています。そうすることにより、はじめてグラスの向こうに貨物船が見える魅力的な山手の午後が訪れるわけです。

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監修/野村潤一郎(野村獣医科Vセンター院長) 構成・文/三宅 暁(編輯舎)

『家庭画報』2020年8月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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