インタビュー・レポート

段田安則さんが演出・出演! 大竹しのぶさん主演の令和の『女の一生』

――戯曲の魅力をどういうところに感じますか?

「まず、年代の切り取り方です。扱っている期間は40年ですが、堤家のお手伝いさんになり、意にそぐわない結婚をし、皆が離れていき……というように、けいの人生をうまくメリハリをつけて切り取って見せていくので、長い芝居になっていない。しかもその中で、夫婦や恋人、親子や兄弟、親戚の心情が、無理なく丁寧に描かれています。けい以外の人物の描かれ方も素晴らしいんです。杉村さんの舞台は若い頃にかなり拝見していたのに、なんでこの『女の一生』だけは観ていないんだろうと、今さらながらに後悔しています(笑)」

――伸太郎という役柄については、どんなところに惹かれたのでしょう?

「たとえば、けいと結婚した伸太郎が、初めて夫婦喧嘩をする場面。思っていることを普段あまり口に出さない伸太郎が、けいに本音をぶつけるんですが、男女の喧嘩での論理の展開の仕方の違いがうまく描かれていて面白いなと。その後、別居していた伸太郎が久しぶりに家に帰ってきて、けいと話す場面も好きですね。娘を心配する夫婦の何でもないやりとりがとてもいい。そんなふうに、けいとの夫婦としての形の変わり様、心情の変化が鮮やかに描かれているところに惹かれます。伸太郎にしても、けいにしても、人間として嫌なところも描かれていて、そういう点でもいい戯曲だなあと感じます」

――個人的には、焼け跡のシーンも洒落ていて好きです。新たな人生への希望も滲んでいて。

「いいですよね。悲しさもありながら、そこからまた布引けいの戦後の一生が始まるんだと感じさせて。焼け跡シーンは、森本さんが戦後に書き足されたそうなんですよ。『女の一生』の初演は、昭和20年の4月。警戒警報が鳴ると役者やスタッフ、お客さんが外に避難して、警報が解除されると途中から再開するという形で、渋谷道玄坂で5日間上演されたそうです。その後も何度か改訂されているんですが、今回は、森本さんが戦後に書き足されたものになるべく近い形の台本を使っています」

段田安則
京都出身の段田さん。時折交じる柔らかな京都弁のイントネーションが、普段の柔和な雰囲気にぴったりとはまっている。

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