インタビュー・レポート

綾野 剛さん、杉咲 花さん「映画という虚構のなかでひとつの噓もなく生きる」

12年前、Y字路で起きた少女失跡事件の容疑者として周囲から追い詰められてゆく豪士。

失跡した少女・愛華と事件直前まで一緒だったことで、自分だけ幸せになってもいいのかという自責の念を抱え続けている紡。

孤独なふたりが、ことばよりも、もっと深い部分で共鳴してゆく姿は、静かで何げないがゆえに、観る者の胸に残るシーンでもある。

「共演できたら、というのは、決してお世辞でいったわけじゃないんです。この人と絶対、一緒にやりたいと思う人はそう多くないけれど、でも僕は、今まで自分がそう思った人とは必ず仕事をしています。やっぱり思いがなければ実現しないんです」

「この作品で共演できたのは、僕ららしいな、と」—綾野 剛

綾野剛さん

ジャケット、パンツ/HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE(イッセイ ミヤケ)

そんな綾野さんから、すぐにも共演したいといわれた杉咲さんは、撮影時のエピソードとともに、綾野さんへの感謝をこう口にする。

「クライマックスのシーンを夜から撮影する日に、お昼に誘っていただいたんです。綾野さんはご飯を食べながら、“今は楽しいけれど、夜にはあのシーンを撮る、この落差がいいと思ったんだよね”っておっしゃって。

この幸せな時間の後、もう豪士と会えなくなることまで考えて誘ってくださったことが本当にありがたくて、実体験と映画が重なるあのときのことは、撮影後も思い出していました」

格差が広がり、社会が不寛容になるなか、日本各地で起きているさまざまなことが“犯罪”を通じて見えてくる—そんな役者にとってはハードな撮影を、ひとつの噓もなく演じたという綾野さんが“完成した映画を観て、すべてをひっくるめて、僕には出ている人たちみんなが愛おしかった”と振り返った本作。

「本質は明るくてチャーミングな杉咲さんとなら、一緒にコメディもできるだろうけれど、でも、最初に『楽園』のような作品で共演できたのは、何だか僕ららしいなと、そんな気がしています」

綾野 剛(あやの ごう)さん

綾野剛さん

1982年、岐阜県出身。2003年俳優デビュー。16年の日本アカデミー賞優秀主演男優賞をはじめ、多くの映画賞受賞を重ねている。11月には『閉鎖病棟-それぞれの朝-』、20年には『影裏』の公開が控えている。

 

杉咲 花(すぎさき はな)さん

杉咲花さん

1997年、東京都出身。2016年『とと姉ちゃん』に出演、『湯を沸かすほどの熱い愛』で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞などを受賞。『杉咲 花のFlowerTOKYO』でラジオパーソナリティを務める。

 

 

『楽園』

© 2019「楽園」製作委員会

『楽園』

日本映画 129分
監督・脚本/瀬々敬久
原作/吉田修一
出演/綾野 剛、杉咲 花、佐藤浩市、村上虹郎、片岡礼子、黒沢あすか、石橋静河、根岸季衣、柄本 明
公式URL:https://rakuen-movie.jp/
2019年10月18日より、全国ロードショー

表示価格はすべて税抜きです。

取材・構成・文/塚田恭子 撮影/増田 慶 ヘア&メイク/ 石邑麻由(綾野さん)、ナライユミ(杉咲さん) スタイリング/申谷弘美(綾野さん)、山本マナ(杉咲さん)

『家庭画報』2019年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

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