インタビュー・レポート

稲垣吾郎さん「ゆっくり集中して取り組めることに幸せを感じています」

稲垣吾郎さん

稲垣吾郎さん

新たな境地で再び挑むベートーヴェンの半生

「3年ぶりなので、さすがに台詞は忘れてますね。でもきっと、稽古が始まったら思い出すんじゃないかな。この作品に関しては、そう思えるくらい、電源がオフになりきっていないところがあるんです。僕自身、“これは絶対に再演したい”と思っていたので、自分の中の火種は消さずにいたというか」

そう話す稲垣吾郎さんが“楽聖”ベートーヴェンを演じ、絶賛された舞台『No.9 –不滅の旋律–』が、今秋、待望の再演を果たす。ベートーヴェンが、波瀾と苦悩の末に『交響曲第九番』を書き上げるまでを描いた作品だ。

以前からピアノ曲が好きだったという稲垣さんは、偏屈な激情家と化した天才の人間味溢れるさまざまな面を、全身全霊で表現。劇場に感動の渦を巻き起こし、2015年の初演時は全公演がスタンディングオベーションとなった。

その再演を紹介するテレビの特番企画で、今年6月にはウィーンへ。ピアニストの清塚信也さんとベートーヴェン所縁(ゆかり)の場所を巡り、また初演の際に対談した指揮者・佐渡 裕さんとも再会を果たした。

ウィーン旧市街の中心、アルべルティーナ・プラッツ

ウィーン旧市街の中心、アルべルティーナ・プラッツにて。短い滞在だったが、音楽の都の雰囲気を味わった。
(c)Nancy Horowitz

「僕にとっては、初めてのウィーン。自分の足で街を歩いたり、今まで知らなかったエピソードを教えてもらったことで、楽聖をより身近に感じることができました。そういった経験も生かしながら、また新たな気持ちで臨むつもりです。ものすごくエネルギーが必要な役なので、体力づくりもしっかりして。やる以上は楽しくやりたいですからね。好きな仕事をやっている瞬間は、ご褒美みたいなものなので」

ウィーン市内のフォルクス劇場

こちらはウィーン市内のフォルクス劇場。「ベートーヴェンが活躍していた頃の劇場もこんな感じだったのかな?」。
(c)Nancy Horowitz

なかでも舞台の一番の醍醐味は、やはり観客の反応をダイレクトに感じられるところ。観客が入れ替わることで劇場全体の空気もリセットされて、毎公演、ゼロから始められるのだとか。

「毎日同じ場所で同じことをやっているのに、舞台に出ていくと、ちょっとひんやりした新鮮な空気を肌に感じるんです。まだ誰の足跡もない雪の上を歩いていくような、その感覚がすごく気持ちよくて。マチネ(昼公演)があった日なんて、つい2、3時間前まで熱気に満ちていたわけだから、余計に不思議ですよね。今回の再演はキャストもだいぶ替わって、そこでもリセットされるところがあると思うので、どうなるか楽しみです。僕自身もこの3年で、環境が随分変わりましたし」

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