インタビュー・レポート

なぜ今川義元は負けたのか? しりあがり寿さんが書き下ろす戦国エンターテインメント


2016年7月~翌年3月にかけて、東京、愛知、兵庫で、自身初の個展となる『しりあがり寿の現代美術 回・転・展』を開催した。

――演劇がお好きなんですね。

「そりゃ好きですよ、面白いですし。自分が知っている人が変なことをしていると、さらにまた面白い(笑)。その後の打ち上げが、またいいんです。特に、芝居が面白くなかったときの打ち上げは、みんな黙々とお酒を飲んじゃったりして、あの微妙な感じがいい(笑)。NASをつくったのも、元々は打ち上げをやることがメインだったんです。知り合いの舞台の打ち上げで安齋さん達と会ったときに、“打ち上げいいね。僕らも芝居やろう”という話になって。今回の打ち上げはどうなるんだろう(笑)?」

――桶狭間という題材は、ご自分で決めたのですか?

「そうです。僕は静岡の人間なので、今川義元で一つやりたいなと思いまして。義元は、天下取りに近い人だったのに、ゲームのキャラクターなんかを見ていると、基本的によくないキャラで使われているんです。地元民として、それはないだろうと思って。そこで、なぜ今川が負けたのかを史実をヒントに色々考えて、流山児さんが得意な戦国ミュージカルの“ええじゃないか”みたいなテイストとうまく混ぜられたらと思って書き始めたら、なかなか混ぜられない(苦笑)。登場人物が思うように増えていかないんです。結局、脚本協力の竹内 佑さんにSOSを出して、助けてもらいました」

――今川義元のどんなところに魅力を感じますか?

「世の中には“義元は、お歯黒で蹴鞠(けまり)なんかしちゃってる貴族だから、信長にやられて当然”と思っている人が多いかもしれませんが、義元は貴族としての見栄からだけじゃなく、その先の文化で何かを治めようと考えて、そうしていたんじゃないかと、僕は思っているんです。まあ、実際には考えていなかったかもしれないけど、でも、強ければいい、力が強いものが勝って当然というのは変だと思う。そうやって書き進めていくと、義元のことを書いているつもりが、段々、現代の日本のことのようになってきて……。お芝居を観て、なんで今川が負けたのかということを、考えてもらえたら嬉しいですね」

――近年は、現代美術展を開かれたり、『THE ドラえもん展 TOKYO 2017』でアニメーションを制作されるなど、映像、アートにも創作の場が広がっていらっしゃいます。

「基本的に仕事を選ばないので、与えられたものの中で全力を出す、みたいなことでやっています(笑)。今度、墨田区で北斎のパロディ展もやるんですよ(すみだ北斎美術館『ちょっと可笑しな ほぼ三十六景 しりあがり寿 北斎と戯れる』1月27日~2月4日)。僕は1月で60歳なんですけど、還暦で仕事まで一巡したのか、それとも進歩がないのか、最近、デビューした頃やっていたパロディっぽい仕事がすごく多くて。言ってみれば、僕が10代後半だった、雑誌『ビックリハウス』ができた頃に流行ったようなものなんですが、楽しみ方としては、伝統芸みたいで、ちょっといいんじゃないかな(笑)。今の人に新鮮に感じてもらえればいいなと思ってます」

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