インタビュー・レポート

伝説的舞台の新たな幕開けに、堤 真一さんをはじめとした華やかな実力派が集結

シンプルな物語だからこそ強い説得力が必要

1974年に、蜷川幸雄氏の演出、平 幹二朗さん、太地喜和子さんらの出演で初演されて以来、上演のたびに話題を呼んできた伝説的名作『近松心中物語』。このたび、新たな装いで12年ぶりに上演される本作品に、堤 真一さんが出演する。

「プレッシャーはありますよ。平さんがなさった役を演じるわけですから。でも、尊敬するかたがたが一つの時代を築いた名作を、自分と世代が近い人たちと一緒に新たにやれるというのは、すごくいい経験。どんなものになっていくか、楽しみです」

脚本は秋元松代氏。近松門左衛門の世話物『冥途の飛脚』に、『ひぢりめん卯月の紅葉』と『跡追心中卯月のいろあげ』を織り交ぜ、独自の視点と物語性を盛り込んで再構成した。

本作品で堤さんが演じるのは、元禄時代の大坂の飛脚屋の養子・忠兵衛。奉公人が拾った金を届けに、初めて廓(くるわ)に足を踏み入れ、そこで雷に打たれたように遊女・梅川と恋に落ちる。しかし梅川に身請け話が持ち上がり、なんとか自分が先に身請けの手付金を払おうと、親友の傘屋の婿養子・与兵衛に金を借りたことから、忠兵衛と梅川、そして店の金庫をこじ開けて金を貸した与兵衛とその妻・お亀の逃避行が始まる……。

「正直、これは難しいなと思いました。物語としてはすごく単純なんですが、それだけに、そこにどう説得力を持たせて、お客さんに物語上のリアリティを感じてもらうかが、大変になってくるなと」

戯曲を読んだ感想を、堤さんはそう話す。そもそも、痛ましい無理心中はあっても、恋を成就するための男女の心中は、ほとんど見受けられない昨今。

「だからこそ人間は、ある種ピュアなものを求めて、こういう“心中物”に惹かれるのかもしれません。ただ、当時の時代背景の説明もない中で、これを観ている人たちにどれだけ共感してもらえるか。演じる身としては、そこが難しい。読んでいて自分でも思いますからね。“金がないなら諦めなはれ。死んだら何にもならん”とか“こんな甲斐性のない男といるより、こっちの金持ちと一緒になったほうがましやで”って(笑)。忠兵衛をやるには、僕は長く生きすぎて汚れてしまったんでしょうか(笑)」

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