観劇日記

尾上右近さんが語る、大阪松竹座 スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』

歌舞伎新世代がナビする「きもので観劇」其の四  

「今の自分と向き合い、突き進む。そんな姿勢を強みにしていきたい」

尾上右近

――目にも心地よい美しくキレのある所作や舞踊で、立役でも女方でもしっかりと存在を印象づける尾上右近さん。昨年から今年にかけては、大きな転機となる出来事が続きました。歌舞伎ファンの記憶に新しいのは、2017年10月、11月に新橋演舞場で上演された『ワンピース』のこと。

当初より若手主演の特別マチネ“麦わらの挑戦”として、本公演では市川猿之助さんが演じるルフィとハンコックにキャスティングされていましたが、公演が始まって間もなく、事故のため猿之助さんが休演。代役として2ヶ月間、72公演のルフィ役とハンコック役を勤め上げたのです。

右近「毎日、一回一回の公演に全力を出し切る日々でした。たとえば声がでなくなったらどうしよう……とか、不安がなかったわけではありません。でも千穐楽までのペース配分を考える余裕も、“できていない自分”に向き合う余裕も、その時はありませんでした。できない、でも、そんな自分を受けいれ、さらけ出す。とにかく今日を全力で!という気持ちでしたね。」

――共演者たちとの強い絆に支えられ、困難を乗り越えて前進する右近さんの熱演と主人公のルフィの姿が重なることもあり、舞台上、そして頭上をサーフボードで宙乗りしていく右近さんに送られる拍手と歓声で、劇場は連日、熱狂の渦に包まれました。

右近「歌舞伎の根底には、役と演じる役者の両方を観ていただく面があるのでしょう。お客様が楽しみながら参加し、応援してくださったことは大きな力になりました。何よりもダメな自分を受け容れ、立ち止まらず全力でやることができたことは、役者にとって、というよりも人間としての自分の強みになったかと思っています」

Ranking今週の人気記事 ベスト5

家庭画報 最新号

2018年10月号 9月1日(土)発売!

銀座の「昼膳」

一部地域は輸送の関係で発売が遅れる可能性があります。

家庭画報編集部SNS

© SEKAI BUNKA PUBLISHING INC. All rights reserved.

Loading