母のタンス、娘のセンス

女優・一色采子の「母のタンス、娘のセンス」〜師走

2018.12.20

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〔今月の引き出し〕
難しい地色の訪問着を、金地の帯でブラッシュアップ



街はキラキラとクリスマスのイルミネーション。現代の私たちにとっては、師が走る師走というより、心浮き立つパーティシーズンと言った方が、なんだかピンときますね。最近では、クリスマスをモチーフにした染め帯などもポピュラーになり、きもの=純和風という固定観念がどんどん自由になって、きものがお洒落の選択肢の一つになってきていることを嬉しく思います。今日は私もきものでパーティにお出かけです。

深い千歳緑のきものを帯で華やかに


左は橋本明治先生の奥様、右が千歳緑の訪問着を着た母です。


選んだきものは、深い千歳緑にクリムトの絵画を思わせるような装飾的な花をろうけつ染めで描いた一枚。50年以上前に、母が日本画家の橋本明治先生の奥様から譲っていただいた、とてもドラマティックな訪問着です。当時の日展の日本画は、父の師匠である山口蓬春先生をはじめ、東山魁夷先生、橋本明治先生やら、綺羅星の如きスター画家が勢揃いしていた時代。日展の初日にはその奥様方が贅を尽くしたお召し物でズラリと居ならび、それはそれは圧巻だったと母から聞いたことがあります。

母のコーディネートは、おそらく白っぽい有職文様の帯などを合わせた王道スタイル。一方私はというと、クリスマスパーティということもあり、“娘のセンス”を発揮して金地の帯で華やぎの足し算を。



さらに、バッグや帯留めでも私の得意とする遊び心をプラスします。キラキラしたグリーンのクリスマスリースのブローチを帯留めにしました。袖口からほんのり香る長襦袢の赤もクリスマスカラーの隠し味に。極め付けはスケルトンのバッグ、実は若い女性が集う雑貨店で見つけた2000円くらいのものなんです(笑) 一つ一つは小さいようですが、小物使いというものは、全体で見ると存外ピリリとしたスパイスになるもの。完成したスタイルは、このままヨーロッパのパーティにも出席できそうな垢抜けたモダンなコーディネートになりました。皆様も、どうぞお気に入りの小物をミックスしたスタイルをお楽しみください。

リースのように、向きを問わないデザインのブローチは帯留めとして活躍しやすく重宝しています。

■お知らせ■
この連載の単行本化が、2019年3月上旬に決定しました。連載未掲載のコーディネートやアイディアもたくさん盛り込まれています。母のタンスのきものをとことん楽しむ、娘のセンスが光る一冊『一色采子のきものスタイルBOOK 母のタンス、娘のセンス』を、是非ご高覧ください。

 

一色采子/Saiko Isshiki

女優
日本画家の故・大山忠作氏の長女として東京都に生まれる。毎日をきもので暮らしたお母様のもとで、コーディネートや着こなしのセンスを磨き、現在はファッションのアイテムを取り入れながら独自のスタイルを楽しむ。趣味の日本舞踊や三味線、長唄では名取になるほど、古典芸能への造詣も深い。現在は、福島県にある二本松市大山忠作美術館の名誉館長や二本松市の観光大使も務める。
【連載】女優 一色采子の「母のタンス、娘のセンス」
ヘア&メイク、着付け/林さやか 構成・取材・文/樺澤貴子
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