母のタンス、娘のセンス

女優・一色采子の「母のタンス、娘のセンス」番外編 文月 徒然ダイアリー

2018.07.18

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「兎も片耳垂るる大暑かな」と芥川龍之介が詠んだごとく、毎日蒸し暑い日が続いています。そんな酷暑にもめげずに、今月も何かときものでお出かけを!夏の盛りには、「きものはあっさりと、帯に涼やかな風情を映す」という着こなしがポイント。皆様への暑中見舞い代わりに、どうぞご覧ください。

母のきりりとした宮古上布で寄席へ


友人が勝手に「奥目白」と呼んでいる一角の路地裏に、茶道教授だった方の純和風の邸宅をいかした甘味処があります。とある夏の宵、その隠れ家のような建物の2階の座敷で柳家花緑さんの独演会が催されました。

女優 一色采子のきもの連載柳家花緑さんの独演会にて。観客は30人ばかりという、なんとも贅沢な一席でした。


この日、母のタンスから選んだ一枚は凛とした藍の宮古上布。「東の越後、西の宮古」と呼ばれる上布の代表格です。そもそも上布とは「細い糸で織られた布」という意もあり、言葉通り、軽くて、サラッとして、肌につかず離れず、本当に気持ちの良い織物です。また、宮古上布は独特の光沢があり、歩く姿や立ち居の何気ない仕草を涼やかに感じさせます。

女優 一色采子のきもの連載リズミカルに銀糸で表現した水しぶきが一層涼しげ。「ぎをん齋藤」で求めた一本です。

コーディネートしたのは、白地の麻に水の勢いを感じさせる波や躍動感ある波頭、葦など水辺の景色を描いた母の染め帯。帯揚げや帯締めに、極力色を使わずに帯に馴染ませる引き算は私のセンス!麻のきものや長襦袢はシワになりやすいため、家に戻ったらすぐに霧吹きで全体にスプレー。そのまま自然乾燥すると、パリッとした質感が蘇ります。こんな贅沢な母のきものに包まれた日は、「母様ありがとう!」と思わずにはいられません(笑)

オフホワイトのワントーンStyleで展示会へ


誉田屋源兵衛さんは、京都室町で創業280年を迎える帯の老舗です。その10代目当主でいらっしゃる山口源兵衛さんは、本当に粋な現代の歌舞伎者(かぶきもの)です。以前、こちらのきものブランド「麻世紗」のモデルをさせていただいたご縁で、この日は銀座で催された展示会の初日へお邪魔しました。

女優 一色采子のきもの連載左が山口源兵衛さん。立ち姿も懐手(ふところで)のポーズも、帯に挿した扇子もキマっています。

女優 一色采子のきもの連載以前、私がモデルを務めたきものブランド「麻世紗」のイメージショット。

この日のきものは母の生紬です。一見すると麻のように素朴で張りのある風合いで、色味も自然なまま。アイスグレーの濃淡で大胆に雪輪を染めた帯を合わせ、帯締めや帯留めも色を使わずに氷のような表情にこだわった「シャーベット」コーディネートの完成です。

女優 一色采子のきもの連載こちらが大人のシャーベットコーディネート!

ここで、帯揚げまで全てを無彩色にしないところが、「娘のセンス」の見せ所!グレーを基調に、お太鼓の脇からほんのりと茜色が見える一枚をチョイス。このワンポイントで、ぐっときもの姿に色香が漂います。

女優 一色采子のきもの連載帰宅してからは、愛犬タンゴと愛猫リノにもコーディネートを披露(笑)。
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